郵便番号 なぜ秋田が「01」東京「10」に?

郵便番号 なぜ秋田が「01」東京「10」に?
郵便物を届けるときに使われる7桁の郵便番号。

例えばNHK秋田放送局は010-8501です。

このうち最初の2桁が都道府県を示しますが…。
秋田は「01」、隣の岩手が「02」、東京は「10」となっています。

なぜ秋田が「01」で東京が「10」に?郵便番号の歴史を調べました。

(秋田放送局記者 横山祐)

「郵便番号は秋田からスタート?」

郵便番号は最初の2桁が都道府県を示し、残りの数字でより細かい地域を表しています。

秋田が「01」のナゾ。まず秋田県民や郵便物の配達員に聞いてみると…
90代 女性
「理由は考えたことないです。分からない」
20代 男性
「最初に秋田から郵便が始まったとかですか?」
配達員
「『01』ですか?私も配達長いですけれども、意識したことがないので分かりませんね」
皆さん、「言われてみれば…」という表情。
そこで、秋田で最も古い秋田中央郵便局を訪ねました。

話を聞いたのは郵便部長の浪岡悟史さんです。浪岡さんは郵便番号制度の歴史を教えてくれました。
秋田中央郵便局 浪岡悟史 郵便部長
「郵便番号制度は、郵便物を区分する作業の効率化と機械化、運送過程の合理化を目的として始まりました。制度開始にあわせて区分機を導入したおかげで、人力の約7倍のスピードで作業できるようになりました」

そもそも郵便番号って?

作業の効率化を目的に導入されたという郵便番号制度。

始まったのは今から56年前の昭和43年です。

当初は3桁または5桁でしたが、平成10年2月からいまの7桁になりました。より細かい地域まで指定できることで、効率的な配達ができるようになったといいます。
制度の導入にあわせて運用が始まったのが、ハガキなどを自動で地域ごとに仕分ける区分機です。導入当初は1秒間に約6通、現在は約11通仕分けられます。

区分機を納入しているNECによりますと、区分機は全国共通で読み取り率は95%以上だということです。

一方で、郵便番号の記入にズレがあるものや郵便物に厚みがあるものなど、どうしても仕分けられない郵便物もあります。

効率化などのため、秋田県内に届けられる郵便物は岩手県にある区分機で集中的に仕分けられています。ここで仕分けられなかった郵便物は、秋田で手作業で仕分けられます。

秋田の「01」 実は…

ではなぜ秋田が「01」なのでしょうか?。
浪岡悟史 郵便部長
「なぜ郵便番号は秋田が「01」、一番最初なのかとよく聞かれますが、実は一番郵便物が多い東京の「10」がスタートです」
秋田の「01」がスタートではない?どういうことなのか。

そのカギは数字の「1」にあります。

「1」は区分機が最も読み取りやすい数字だったことから、「1」を最初にした「10」をまず東京に決めたあと、ほかの道府県を割り当てていったのです。
浪岡さん
「郵便物の多さから、東京を起点として西まわりに九州まで割り当てられました。そのあとは大阪から青森までの鉄道郵便に沿って番号が割り当てられました」

鉄道郵便も順番に影響

日本郵便によると、数字の割り当てに大きく関わっていたのが、鉄道郵便です。

1872年に日本で最初の鉄道が新橋・横浜間で開業し、当初から、郵便物の輸送も行われました。
その後、郵便物を運ぶ専用の車両も登場。

1986年まで列車内で郵便物を仕分けながら手紙や荷物を運んでいました。こうした鉄道などの交通網の整備や郵便物の多さなどにあわせ、東京から西まわりに番号が割り当てられていきました。

そして、大阪・青森間の日本海側を走っていた鉄道郵便の流れに沿って北陸、東北と番号が割り当てられた結果、山形で「99」となり、秋田で「01」となったのです。
浪岡さん
「皆さん「01」が最初と考えがちですけれども、実は秋田は後ろのほうだったということです」
都道府県のなかには、特殊な例もあります。

例えば、沖縄。

制度が始まった当時はまだ返還されていませんでしたが、返還を見据えてあらかじめ「90」という数字が割り当てられていました。

もし数字がずれていたら秋田が「99」になっていた可能性もあるかを尋ねると…
浪岡さん
「明言はできないけれどもその可能性は十分にありました。私は働き始めた時、秋田が「01」で非常にうれしかったです」

郵便番号あれこれ 〒に諸説あり

最初の2桁が都道府県と一致しないこともあります。

例えば、栃木県栃木市藤岡町下宮の郵便番号は349-1221。「34」は埼玉県を示しますが、これは、この場所が埼玉県との県境に近いことが影響しているようです。

ちなみに、全国で一番小さい数字の郵便番号は北海道札幌市北区北十条西の「001-0010」。一番大きい郵便番号は山形県遊佐町菅里一部の「999-8531」でした。
山形県遊佐町にある道の駅は、「ここが日本で一番大きな数字」とPRしています。

ただ、郵便番号は新たな住宅地ができることで増えたり、合併などによって廃止されたりすることもあるということです。

下4桁がすべて「0」の番号もあります。例えば東京の「100-0000」ですが、これは特定の場所を示しているわけではなく、東京に送りたいけれど詳しい地域がわからないというときに記載するそうです。

その場合、書かれている住所を職員が見て仕分けるそうです。
最後に、郵便番号の「〒」のマークの由来ですが、日本郵便によると諸説あるそうです。
▽「日本(にほん)」にあわせて横の「二本(にほん)」の線に縦線を加えて、当時、郵便を所管していた逓信(ていしん)省の頭文字の「テ」のようにしたという説

▽逓信省の「T」をベースに、そのままでは料金不足を示す国際的な記号と似ていたため、横棒を一本加えて「〒」になった説なども
ふだん何気なく使っている郵便番号ですが、調べてみると奥深さを感じました。

3月や4月は引っ越しの多い季節。

新しい場所で生活が始まる人も多いのではないでしょうか?その土地の郵便番号に思いをはせてみるのも楽しいかもしれません。

(3月5日 「ニュースこまち」で放送)
秋田放送局記者
横山祐
2020年入局
秋田放送局で行政や医療などを取材
物心ついたときには郵便番号は7桁でした