能登半島に伝わる調味料「いしり」地震影響で生産や出荷できず

今回の地震による被害や断水の影響で、石川県の能登半島特産のイカをつかった調味料「いしり」の工場では、生産や出荷ができなくなっています。

能登半島に伝わる調味料の「いしり」はイカの内臓を塩と混ぜて発酵させて作る魚醤で独特の香りとうまみがあり、鍋料理などの隠し味として使われます。

石川県能登町小木で、およそ80年前から「いしり」を生産している水産加工会社は、事務所からおよそ1キロ離れた倉庫内のタンクで在庫を保管していました。

タンク内の「いしり」は地震の被害を免れ、倉庫内の安全な場所に移動させましたが、倉庫に続く唯一の道路がおよそ50メートルにわたり崩落し、車の通行ができなくなっています。

「いしり」は、1年以上熟成させることが必要で、この会社では例年2月ごろから来年分の仕込み作業を始めますが、原材料を運び込むことができず断水も続いていて、生産の見通しが立たないということです。

水産加工会社の新谷伸一社長は「熟成中の在庫は難を逃れてほっとしましたが、原材料の運び込みや商品の出荷ができません。来年の出荷分も仕込めないので非常に心配です」と話していました。