“これで最後です” 山手線渋谷駅 なぜ工事?影響は?【Q&A】

「100年に1度」とされる渋谷駅周辺の再開発。11月18日と19日は駅の線路やホームで工事が行われ、山手線の一部が運休となります。

JR東日本は、再開発での運休を伴う大規模工事は“今回で最後になる”としています。

そもそも何のための工事?駅構内の制限は?

Q&Aで詳しく解説します。

【運休区間の詳しい移動方法はこちら↓】

Q.どんな工事をするの?

今回の工事は渋谷駅の東西を結ぶ通路を改修するために行われます。

駅の1階部分を通り、明治通り側とハチ公広場側を結ぶ2本の通路は、現状、中央に向かってくぼむように傾斜があり、車いすの利用者や高齢者が通行しにくく、大雨の際に水がたまるという問題があります。

このため、通路の床面を上げて傾斜をなくすとともに、天井も上げて通路内の広さを十分、確保するということで、高さ2メートル60センチ余り、幅20メートル余りの通路が2本完成する予定です。

18日からは、こうした通路の改修のための事前の工事が行われ、通路内の空間を確保するため、上を通る山手線の線路やホームを最大20センチ上にずらします。通路の真上の部分にある線路やホームをずらすことで、その前後の線路も同じように上にずらす必要があり工事がより大規模になるということです。

Q.2日間の運休でどんな影響が?

山手線は渋谷駅での工事の影響で、18日の土曜日は大崎駅から新宿駅を経由し池袋駅まで北上する外回りの区間が19日の日曜日は同じ区間を反対方向に南下する内回りの区間が、それぞれ始発から終電まで終日運休となります。

JR東日本はこの週末の2日間で590本程度を運休し、およそ64万人に影響が出るとしていますが、東京メトロや都営地下鉄の全線などに振り替え輸送を実施するほか、山手線と並行する埼京線の区間で運行本数を増やし、対応するとしています。

Q.駅構内も制限される?

また、18日と19日はいずれも、山手線の渋谷駅のホームはおよそ半分ずつが使えずホーム上の混雑が予想されることから、JR東日本が注意を呼びかけています。ホーム上の混雑をきっかけに駅構内全体で人が滞留することも考えられ、場合によっては入場制限を行う可能性があるとしています。

このほか、4つある改札のうち最も狭い「ハチ公改札」の付近は、特に混み合うことが予想されるとして工事期間中は利用を避けてほしいとしています。

Q.そもそも渋谷の再開発って?

渋谷駅とその周辺では100年に1度と言われる大規模な再開発が進められています。

渋谷に最初の駅が開業したのは明治18年で、いまでは4つの鉄道会社の9路線が乗り入れています。それぞれの会社が増改築を繰り返したため駅は複雑な構造になっていて、2002年に東急東横線の渋谷駅を地下化する検討が始まったのを皮切りに、行政とも連携した再開発事業が進められてきました。

再開発は、
▼複雑になった駅の改良
▼駅や線路、道路による街の分断の解消
▼谷底にある街の浸水対策
を重点に進められています。

Q.何が変わったの?

これまで、東京メトロ銀座線の渋谷駅の移設工事や、路線間の乗り換えをスムーズにするための新しい改札やエスカレーターの整備が行われました。

また、「渋谷ヒカリエ」や「渋谷スクランブルスクエア」などの高層ビルが建設された際には街なかを行き来しやすくするための歩行者デッキが設けられたほか、およそ4000トンの雨水を一時的に貯水できる地下施設も整備されました。

9年前からはJR渋谷駅でも工事が進められ、埼京線のホームを移設する工事や、内回りと外回りで分かれていた山手線のホームを1本化する工事が行われました。

今回の工事は、駅の東西を結ぶ通路を改修し通行しやすくするためのもので、再開発での運休を伴う大規模工事は最後になるということです。

Q.観光客で混雑するのでは?

18日からの工事で山手線では全線で影響が出ることになりますが、外国人観光客が多い渋谷駅では独自の対応に乗り出しました。

渋谷駅では、ふだんみどりの窓口や改札で働く7人の駅員で特別のチームをつくり、工事期間中の外国人観光客への対応を検討してきました。

チームでは混雑が予想される駅構内で日本語がわからない外国人観光客もスムーズに誘導できるよう放送などで流す英語の音声を事前に録音しました。

録音は「この付近には立ち止まらないでください」など、使用する場所に応じて14種類行いました。

また、運休の情報などを伝える英語の案内表示板も作成し、当日は駅員がこれを持って案内するということです。

チームに入った駅員の1人は、「駅を利用してスクランブル交差点などを訪れる外国人観光客が急増しているのを感じています。しっかり準備して混乱のないように対応したいです」と話していました。

Q.準備は進んでいる?

17日の終電後にはじまります。工事に向け、JR渋谷駅では準備が進められています。

山手線のレールの脇には線路を上にずらすために使う砂利が入った袋や重機が用意されていました。

また、駅の構内では工事期間中の運休の情報がアナウンスや電光掲示板で繰り返し伝えられていました。

JR東日本建設工事部の伊東寛マネージャーは「古くて狭い部分もあったJR渋谷駅は、今後、広く快適な駅に生まれ変わりますが、あすからの工事でその骨格が固まります。あす・あさっては山手線が一部区間で運休し、ご迷惑をおかけします。埼京線や私鉄各線の利用をお願いしたいです」と話していました。