スピードスケートW杯 女子1500m 高木美帆が優勝 通算17勝目

北海道 帯広市で開かれているスピードスケートのワールドカップは大会2日目、女子1500メートルでは、この種目の世界記録を持つ高木美帆選手が優勝し、この種目、ワールドカップ通算17勝目を挙げました。

スピードスケートの国内外のトップ選手が競うワールドカップの今シーズンの初戦は帯広市で10日開幕しました。

大会2日目のうち女子1500メートルには、この種目の世界記録を持ち、3年後のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックで金メダル獲得を目標に掲げる高木選手が出場しました。

高木選手は最初の300メートルを全体2位のタイムで通過すると、ここからスピードに乗り、後半は持ち味の持久力を生かした大きな滑りを見せ、2位に1秒半以上の差をつける1分54秒54で優勝しました。

高木選手はこの種目、ワールドカップ通算17勝目で地元・北海道で開催された大会の個人種目では初めての優勝となりました。

レース後、高木選手は「このリンクで1500メートルは誰よりも滑ってきた自負がある。前日の1000メートルのレースで見つかった課題を守りに入らないようきょうのレースに生かしたいと思っていたし、まだ爆発的なタイムは出せていないが最低限のことはできた」と話していました。

女子団体パシュートも優勝

また、3人1組で隊列を組み6周でのタイムを競う女子団体パシュートには高木選手と、この種目で高木選手とともにピョンチャンオリンピックで金メダルを獲得した佐藤綾乃選手、それに、20歳の堀川桃香選手の3人が出場しました。

レースでは高木選手が常に先頭を務めて入れ代わらない戦術をとり、3人が一体となった安定した滑りを見せて2分58秒03でこのメンバーでは初めての優勝を飾りました。

女子団体パシュートメンバー 高木・佐藤・堀川は

女子団体パシュートで優勝した高木美帆選手は「今回は、チームとして手探りの中での滑りだったので、優勝というかたちで終えられて次が楽しみに思えるレースとなった。課題もあるので結果に慢心することなく3年後のオリンピックを見据えて今後につなげていきたい」と話しました。

また、佐藤綾乃選手は「純粋にうれしい。個人種目では調子が悪く不安を抱えながら滑ったが、しっかり結果を出すことができてチームとしても個人としても大きな収穫となった」と話しました。

そして、堀川桃香選手は「一緒に滑った2人は本当に強い選手なので滑る前は不安と緊張があったが優勝できて自信になった。もっと速いタイムをキープできるようにチームで頑張っていきたい」と話していました。

3年後の五輪 1500メートルで悲願の頂点へ

4年ぶりとなる国内開催のワールドカップ。

高木美帆選手は地元・北海道の観客を前に自身が世界記録を持つ女子1500メートルで圧倒的な強さを見せました。

シーズン初戦での好スタートは3年後のオリンピックに向けたチャレンジの確かな1歩でもあります。

オリンピックで日本の女子選手で最多となる7個のメダルを獲得している高木選手ですが、過去2大会、本命種目である女子1500メートルでは、いずれも金メダルの獲得を有力視されながら銀メダルに終わりました。

高木選手は北京大会後、ナショナルチームを離れ昨シーズンはコーチとマンツーマンで活動してきましたが、今シーズンに向けては新たなチームを結成します。

その名も『team GOLD』。

3年後のミラノ・コルティナダンペッツォ大会、1500メートルで金メダルを獲得するため、ピョンチャン大会の団体パシュートでともに金メダルを獲得した佐藤綾乃選手や、ワールドカップで優勝経験のある村上右磨選手、それにオランダと中国の選手も加え、高いレベルで練習できる環境を整えました。

また、さらなるスピードの強化のため新たに取り組んでいるのがスケートの刃、ブレードの変更です。

高木選手は「新しい刃を試すことによって今まで使ってこなかった思考回路を使うことができ、自分で考える時間が増えることでその中で得られる気づきがある」と話します。

前日の1000メートルは2位に終わり、「純粋に悔しい」と雪辱の思いで臨んだきょうの1500メートル。

優勝で終えた高木選手は「前日よりスピードに乗れて、新しい刃をコントロールできたのかなと思う」と手応えを口にしました。

今後の意気込みについて「今まで積み上げてきたものを守るというよりは、ぶっ壊していくような気持ちでいきたいなと思っていて、もう一歩、先に行くためにはそういうことが必要なのかなと感じている」と話した高木選手。

3年後のオリンピック、1500メートルで悲願の頂点に立つため、『求道者』とも称されるアスリートが新たな道を切り開いていきます。