プロ野球ドラフト会議2023【全名簿】1位指名で計7回の抽せん

プロ野球のドラフト会議が4年ぶりに関係者が一堂に集まり観客も入る中で開催されました。父親が元プロ野球選手のENEOS、度会隆輝選手が3球団から1位で指名され、抽せんの結果DeNAが交渉権を獲得しました。また、大阪桐蔭高校の前田悠伍投手は2回目の1位指名で3球団から指名され、抽せんの結果ソフトバンクが交渉権を獲得しました。

育成ドラフトも含め各球団が指名したすべての選手を一覧で紹介します。
また、1位指名選手の記者会見の様子を【動画】でお伝えしています。

1位指名 抽せんは計7回も

今回のドラフト会議では3球団が競合した武内夏暉投手(国学院大)や常廣羽也斗投手(青山学院大)、それに西舘勇陽投手(中央大)など好投手が数多く顔をそろえた東都大学野球から7人が1位で指名されました。

また、ことしは事前に1位指名選手を公表したのは4球団と、去年の9球団と比べると半分以下となり競合は最も多くて3球団でしたが、1回目の1位指名で抽せんが4回2回目では2回、さらに3回目でも抽せんがあり合わせて7回行われるなど競合が目立った1位指名となりました。

最初に行われたENEOSの度会隆輝選手は事前に1位指名を公表していた中日にDeNAとロッテを加えた3球団での抽せんとなり、2番目に引いたDeNAの三浦大輔監督がくじを引き当てると右手を大きく突き上げ、会場から歓声が送られました。

また、国学院大の武内夏暉投手は、ソフトバンク、西武、ヤクルトの3球団による抽せんで、2番目にくじを引いた西武の松井稼頭央監督がくじを引き当て、ガッツポーズをしながら「よっしゃー」と叫び喜んでいました。

そして2球団での抽せんとなった中央大の西舘勇陽投手は中央大の先輩である巨人の阿部慎之助監督がくじを引き当てると会場から大きな拍手が送られていました。

同じく2球団の抽せんとなった青山学院大の常廣羽也斗投手は、事前に1位指名を公表していた広島の新井貴浩監督がくじを引き当て、「よしっ」と大きな声で喜んでいました。

==ドラフト会議 経過==

17:00前

各球団の監督や関係者が会場内に

12球団の監督が関係者とともに会場に入りました。このあとドラフト1位の選手の入札が行われ、競合した場合は抽せんが行われます。今回は会場内に観覧席も設けられ、事前にチケットを購入したり招待されたりしたファンおよそ700人が指名の様子を見守っています。

2023年10月26日 17時01分 更新

1回目の12球団1位入札選手

太字は競合でくじ引き 色つき交渉権確定
※カッコ内はポジション・投/打の順

中日 度会隆輝(外・右/左)ENEOS
日本ハム 西舘勇陽(投・右/右)中央大
ヤクルト 武内夏暉(投・左/左)国学院大
西武 武内夏暉(投・左/左)国学院大《確定》
巨人 西舘勇陽(投・右/右)中央大《確定》
楽天 常廣羽也斗(投・右/右)青山学院大
DeNA 度会隆輝(外・右/左)ENEOS《確定》
ソフトバンク 武内夏暉(投・左/左)国学院大
広島 常廣羽也斗(投・右/右)青山学院大《確定》
ロッテ 度会隆輝(外・右/左)ENEOS
阪神 下村海翔(投・右/右)青山学院大《確定》
オリックス 横山聖哉(内・右/左)長野・上田西高《確定》

2回目の1位の入札選手(6球団)

ソフトバンク小久保監督が前田投手の交渉権獲得

太字は競合でくじ引き 色つき交渉権確定
中日 草加勝(投・右/右)亜細亜大《確定》
日本ハム 前田悠伍(投・左/左)大阪桐蔭高
ヤクルト 西舘昂汰(投・右/右)専修大《確定》
楽天 前田悠伍(投・左/左)大阪桐蔭高
ソフトバンク 前田悠伍(投・左/左)大阪桐蔭高《確定》
ロッテ 草加勝(投・右/右)亜細亜大

3回目の1位入札選手(3球団) ロッテは4回目で決定

太字は競合でくじ引き 色つき交渉権確定
日本ハム 細野晴希(投・左/左)東洋大《確定》
楽天 古謝 樹(投・左/左)桐蔭横浜大《確定》
ロッテ 細野晴希(投・左/左)東洋大
→4回目の入札
   
上田希由翔(内・右/左)明治大《確定》

18:15

2位指名選手確定

中日 津田 啓史(内・右/右)三菱重工East
日本ハム 進藤 勇也(捕・右/右)上武大
ヤクルト 松本 健吾(投・右/右)トヨタ自動車
西武 上田 大河(投・右/右)大阪商業大
巨人 森田駿哉(投・左/左)Honda鈴鹿
楽天 坂井 陽翔(投・右/右)兵庫・滝川二高
DeNA 松本 凌人(投・右/右)名城大
ソフトバンク 岩井 俊介(投・右/右)名城大
広島 高 太一(投・左/左)大阪商業大
ロッテ 大谷 輝龍(投・右/右)富山GRNサンダーバーズ
阪神 椎葉 剛(投・右/右)徳島インディゴソックス
オリックス 河内 康介(投・右/右)愛媛・聖カタリナ学園

※3位以下は各球団ごとに紹介します。

19:30ごろ

育成ドラフト始まる 楽天は不参加

楽天は12球団で唯一不参加で11球団が参加して行われます。

20:30ごろ

育成ドラフトが終了

ソフトバンクが育成8位の選手まで指名し、すべての球団の指名が終了しました。

《各球団 指名選手一覧》

◆オリックス(パ・1位)

=指名選手一覧=
1位 横山 聖哉(内・右投左打)長野・上田西高

横山選手は上田市出身の17歳。右投げ左打ちの内野手で、この夏の全国高校野球ではチームを8年ぶりとなる甲子園出場に導きました。1メートル81センチ、85キロの恵まれた体格を生かした長打力が持ち味で、高校通算30本のホームランを記録しました。また、ショートの守備では強肩を生かしたスローイングと広い守備範囲を誇り、全12球団から指名を検討する調査書が届いていました。

2位 河内 康介(投・右投右打)愛媛・聖カタリナ学園
3位 東松 快征(投・左投左打)愛知・享栄高
4位 堀 柊那(捕・右投右打)兵庫・報徳学園高
5位 高島 泰都(投・右投右打)北海道・滝川西→明大準硬式野球部→王子
6位 古田島 成龍(投・右投右打)茨城・取手松陽高→中央学院大→日本通運
7位 権田 琉成(投・右投右打)上田西高→明星大→TDK

育成1位 寿賀 弘都(投・左投左打)香川・英明高
育成2位 大江 海透(投・左投左打)北九州下関フェニックス
育成3位 宮國 凌空(投・右投右打)愛知・東邦高
育成4位 芦田 丈飛(投・右投右打)埼玉武蔵ヒートベアーズ
育成5位 河野 聡太(内・右投左打)愛媛マンダリンパイレーツ
《選択終了》

◇阪神(セ・1位)

=指名選手一覧=
1位 下村 海翔(投・右投右打)九州国際大付属高→青山学院大

兵庫県出身で、福岡県の九州国際大付属高校では2年生からエースとして注目を集めましたが甲子園出場はなく、青山学院大に進学後も1年生の冬に右ひじの手術をしておよそ1年間登板はありませんでした。それでも3年秋のリーグ戦では2勝1敗、防御率1.72の成績を残し、4年生でむかえた今シーズンは常廣羽也斗投手とともに投手陣の中心として活躍して青山学院大の春秋連続優勝に貢献しました。ひじを柔らかく使った腕の振りから投げ込まれる最速155キロのストレートとカットボールやカーブを織り交ぜたピッチングが持ち味でことしの大学日本代表にも選ばれています。

2位 椎葉 剛(投・右投右打)長崎・島原中央高→ミキハウス→徳島インディゴソックス
3位 山田 脩也(内・右投右打)仙台育英高
4位 百崎 蒼生(内・右投右打)東海大熊本星翔高
5位 石黒 佑弥(投・右投右打)愛知・星城高→JR西日本
6位 津田 淳哉(投・右投右打)奈良・高田商→大阪経済大

育成1位 松原 快(投・右投右打)富山・高朋高→富山GRNサンダーバーズ
育成2位 福島 圭音(外・右投左打)埼玉・聖望学園→白鴎大
《選択終了》

◆ロッテ(パ・2位)

=指名選手一覧=
1位 上田 希由翔(内・右投左打)愛産大三河高→明治大

長打力と勝負強いバッティングが持ち味の右投げ左打ちの内野手です。愛知県出身で、愛知産業大三河高校では2年生の夏に中心選手として甲子園に出場し、高校通算では46本のホームランを打ちました。明治大では1年生の秋のリーグ戦から中軸を務め、ことし春のリーグ戦では打率3割7分2厘、ホームラン3本、12打点といずれもリーグトップクラスの成績でチームを3季連続43回目の優勝に導きました。リーグ戦の通算打点は74打点をマークし、明治大の歴代記録を更新して東京六大学の歴代4位に名を連ねるなどチャンスでの勝負強さも魅力のひとつです。身長1メートル83センチ、93キロの恵まれた体格を生かした長打力に加え、巧みなバットコントロールも評価されてことしの大学日本代表に選ばれ、ドラフト上位候補として注目されていました。

2位 大谷 輝龍(投・右投右打)石川・小松大谷高→JFE東日本→富山GRNサンダーバーズ
3位 木村 優人(投・右投左打)茨城・霞ヶ浦高
4位 早坂 響 (投・右投右打)千葉・幕張総合高
5位 寺地 隆成(捕・右投左打) 高知・明徳義塾高

育成1位 武内 涼太(投・右投右打)石川・星稜高
育成2位 松石 信八(投・右投右打)大分・藤蔭高
育成3位 高野 光海(外・右投右打)徳島・池田高→富山GRNサンダーバーズ
育成4位 藤田 和樹(外・右投左打)宮崎・延岡学園高
育成5位 富山 紘之進(捕・右投右打)福島・会津北嶺高
《選択終了》

◇広島(セ・2位)

=指名選手一覧=
1位 常廣 羽也斗(投・右投右打)大分舞鶴高→青山学院大

最速155キロのストレートとフォークボールを武器とする右ピッチャーです。大分県出身で大分舞鶴高校では甲子園出場はありませんでしたが青山学院大に進むと2年生からリーグ戦にベンチ入りし、ことし春のリーグ戦では3勝負けなし、防御率1.44の成績を残し、チームを17年ぶり13回目の優勝に導きました。また、大学野球の日本一を決める全日本大学選手権でも決勝で明治大を相手に完封勝利をあげ17大会ぶり5回目の優勝に大きく貢献し、最高殊勲選手賞に選ばれました。身長1メートル80センチ、体重73キロと細身ながらしなやかな腕の振りから繰り出すキレのあるストレートとフォークボールが持ち味で、ことしの大学日本代表にも選ばれ、ドラフト上位候補として注目されていました。

2位 高 太一(投・左投左打)広島・広陵高→大商大
3位 滝田 一希(投・左投左打)北海道・寿都高→星槎道都大
4位 仲田 侑仁(内・右投右打) 沖縄尚学高
5位 赤塚 健利(投・右投右打)中京学院大中京高→中京学院大

育成1位 杉田 健(投・右投右打)静岡・日大三島高→日大国際関係学部
育成2位 佐藤 啓介(内・右投左打)愛知・中京大中京高→静岡大
育成3位 杉原 望来(投・左投左打)京都国際高
《選択終了》

◆ソフトバンク(パ・3位)

=指名選手一覧=
1位 前田 悠伍(投・左投左打)大阪桐蔭高

伸びのあるストレートとチェンジアップやスライダーなど大きく曲がる変化球をコントロール良く投げ込む左ピッチャーです。2年生で出場した去年のセンバツ高校野球ではチームの主力投手の1人として13イニングを自責点無しに抑え、優勝に大きく貢献したほか、ことしのセンバツでもエースとしてベストフォー進出を果たしました。また、先月台湾で行われた18歳以下のワールドカップに日本代表として出場し、決勝の台湾戦で完投するなど3試合で16イニングあまりを投げて、防御率0.42と抜群の安定感を見せて、日本を初優勝に導きました。

2位 岩井 俊介(投・右投右打)京都翔英高→名城大
3位 廣瀬 隆太(内・右投右打)慶応高→慶応大
4位 村田 賢一(投・右投右打)埼玉・春日部共栄高→明治大
5位 澤柳 亮太郎(投・右投右打)東京・明治学院東村山高→明治学院大→ロキテクノ富山
6位 大山 凌(投・右投右打)白鴎大足利高→東日本国際大
7位 藤田 悠太郎(捕・右投右打)福岡大大濠高

育成1位 大泉 周也(外・左投左打)山形中央高→日本製鉄鹿島→福島レッドホープス
育成2位 宮里 優吾(投・右投右打)東京・岩倉高→東京農業大
育成3位 佐倉 侠史朗(内・右投左打)福岡・九州国際大付高
育成4位 中澤 恒貴(内・右投右打)青森・八戸学院光星高
育成5位 星野 恒太朗(投・右投右打)福岡大大濠高→駒沢大
育成6位 藤原 大翔(投・右投右打)福岡・飯塚高
育成7位 藤田 淳平(投・左投左打)川島高→東亜大→徳島インディゴソックス
育成8位 長水 啓眞(投・左投左打)京都国際高
《選択終了》

◇DeNA(セ・3位)

=指名選手一覧=
1位 度会 隆輝(外・右投左打)横浜高→ENEOS

巧みなバットコントロールと長打力を持ち合わせた右投げ左打ちの外野手です。千葉県出身で横浜高校では、早くからレギュラーに定着し、強打の内野手として高校3年生のときにドラフト候補に挙がりましたが、指名漏れとなり、社会人野球のENEOSに進みました。ENEOSでは、セカンドから外野手にコンバートし、去年の都市対抗野球では、打率4割2分9厘、ホームラン4本の成績を残し野手で大会史上初となるMVP=最優秀選手にあたる「橋戸賞」、新人賞にあたる「若獅子賞」、優秀な打撃成績を収めた選手に贈られる「打撃賞」を同時に受賞しました。父親はプロ野球・ヤクルトでプレーした度会博文さんで、強打の外野手としてドラフト上位候補と注目されていました。

2位 松本 凌人(投・右投右打)神戸国際大付高→名城大
3位 武田 陸玖(投・左投左打)山形中央高
4位 石上 泰輝(内・右投左打)徳島商業高→東洋大
5位 石田 裕太郎(投・右投右打)静岡・静清高→中央大
6位 井上 絢登(内・右投左打)福岡・久留米商業高→福岡大→徳島インディゴソックス
《選択終了》
育成1位 高見澤 郁魅(内・右投左打)福井・敦賀気比高
育成2位 清水 麻成(投・右投右打)群馬・樹徳高
育成3位 小笠原 蒼(内・右投左打)京都翔英高
育成4位 庄司 陽斗(投・左投左打)宮城・聖和学園高→青森大
育成5位 近藤 大雅(捕・右投右打)岩手・専大北上高
《選択終了》

◆楽天(パ・4位)

=指名選手一覧=
1位 古謝 樹(投・左投左打)神奈川・湘南学院高→桐蔭横浜大

最速153キロのキレのあるストレートを武器とする左ピッチャーです。神奈川県出身で湘南学院高校では甲子園出場はありませんが、桐蔭横浜大に進学し、2年生のとき、神奈川大学野球の春のリーグ戦から頭角を現しました。去年の秋のリーグ戦では7試合に登板して5勝1敗、防御率2.37の成績をマークして最優秀投手賞を獲得したほか、ことし春のリーグ戦では、6試合に登板して5勝負けなし、防御率1.82と抜群の安定感をみせてリーグのMVP=最優秀選手を受賞しました。身長1メートル81センチ、体重76キロと細身ながら力感のない、テイクバックを体の後ろに隠すような投球フォームから投げ込む最速153キロのストレートと多彩な変化球が持ち味です。

2位 坂井 陽翔(投・右投右打)兵庫・滝川二高
3位 日當 直喜(投・右投右打)東京・東海大菅生高
4位 ワォーターズ 璃海 ジュミル(内・右投右打)日本ウェルネス沖縄高
5位 松田 啄磨(投・右投右打)大阪・大冠高校→大阪産業大
6位 中島 大輔(外・右投左打)京都・龍谷大平安高→青山学院大
7位 大内 誠弥(投・右投右打)日本ウェルネス宮城高
8位 青野 拓海(内・右投右打)富山・氷見高
《選択終了》
※育成ドラフト不参加

◇巨人(セ・4位)

=指名選手一覧=
1位 西舘 勇陽(投・右投右打)岩手・花巻東高→中央大

ランナーがいない状態でもクイックモーションで投げる変わり種で最速155キロのストレートとキレのある変化球が持ち味の右ピッチャーです。岩手県出身で花巻東高校では1年生の夏からベンチ入りし、2年生の春と夏に甲子園に出場したほか、3年生の夏には岩手大会決勝で現在、プロ野球・ロッテに所属する佐々木朗希投手を擁する大船渡高校を破って自身3回目の甲子園出場を果たしました。進学先の中央大学では、3年生の秋には先発として5勝1敗、防御率1.70の好成績を残しベストナインに選ばれました。本来盗塁を防ぐために用いられるクイックモーションで常時投げ、躍動感のある投球フォームから最速155キロのストレートとカットボールやスプリットなどの多彩な変化球を得意としていて、ドラフト上位候補として注目を集めていました。

2位 森田駿哉(投・左投左打)富山商→法大→Honda鈴鹿
3位 佐々木 俊輔(外・右投左打)東京・帝京高→法政大→日立製作所
4位 泉口 友(内・右投左打)大阪桐蔭高→青山学院大→NTT西日本
5位 又木 鉄平(投・左投左打)山梨・日川高→東京情報大→日本生命

育成1位 三浦 克也(投・左投左打)富山・高岡向陵→東京国際大
育成2位 村山 源(内・右投右打)鹿児島・鹿屋中央高
育成3位 宇都宮 葵星(内・右投左打)松山工業高→愛媛マンダリンパイレーツ
育成4位 田上 優弥(内・右投右打)神奈川・日大藤沢高
育成5位 園田 純規(投・右投右打)福岡工大城東高
育成6位 千葉 隆広(投・左投左打)北海道・旭川明成高
育成7位 平山 功太(外・右投右打)広島・瀬戸内高→千葉スカイセイラーズ
《選択終了》

◆西武(パ・5位)

=指名選手一覧=
1位 武内 夏暉(投・左投左打)八幡南高→国学院大

正確なコントロールが最大の持ち味で安定感のあるピッチングが高く評価されている左ピッチャーです。福岡県出身で八幡南高校では甲子園出場はありませんでしたが、進学先の国学院大で大きく成長をみせました。今シーズンは春のリーグ戦で9試合に登板して2勝3敗と勝ち星に恵まれませんでしたが防御率は2.88と安定感のあるピッチングを見せ秋のリーグ戦でも防御率0.97で最優秀防御率のタイトルを獲得しました。ことしの大学日本代表にも選ばれています。身長1メートル85センチ、90キロと大柄で、最速153キロのストレートも武器の1つですが、ボールをリリースする直前まで右肩を開かず、テイクバックも小さい投球フォームで、両コーナーにボールを集める正確なコントロールが最大の持ち味です。変化球もカーブやスライダー、ツーシームなど多彩で、先発として試合を作る安定感が高く評価されている大型の左投手で即戦力候補と注目されていました。

2位 上田 大河(投・右投右打)大商大高→大商大
3位 杉山 遙希(投・左投左打)横浜高
4位 成田 晴風(投・右投右打)青森・弘前工業高
5位 宮澤 太成(投・右投右打)長野高→北海道大→徳島インディゴソックス
6位 村田 怜音(内・右投右打)三重・相可高→皇學館大
7位 糸川 亮太(投・右投右打)愛媛・川之江高→立正大→ENEOS

育成1位 シンクレア ジョセフ 孝ノ助(投・左投左打)徳島インディゴソックス
育成2位 谷口 朝陽(内・右投右打)徳島インディゴソックス
育成3位 川下 将勲(投・左投左打)北海道・函館大有斗高
育成4位 金子 功児(内・右投左打)埼玉武蔵ヒートベアーズ
育成5位 木瀬 翔太(投・右投右打)京都・北嵯峨高
育成6位 奥村 光一(外・右投右打)群馬ダイヤモンドペガサス
《選択終了》

◇ヤクルト(セ・5位)

=指名選手一覧=
1位 西舘 昂汰(投・右投右打)福岡・筑陽学園高→専修大

身長1メートル88センチの長身から投げ下ろす最速152キロの力強いストレートが持ち味の右ピッチャーです。福岡県出身で、筑陽学園では今回のドラフトで大学ナンバーワンキャッチャーとして注目されている上武大の進藤勇也選手とバッテリーを組み3年生のとき、甲子園に春夏連続で出場して大型ピッチャーとして注目を集めました。専修大では東都大学野球2部で3年生のとき秋のリーグ戦で2つの完封勝利を含む3勝0敗、防御率1.72の成績を残し、ことし春のリーグ戦では7試合に登板して3勝3敗ながら防御率は1.01の安定感でリーグトップとなる5試合で完投しました。ストレートを中心にスライダーやフォークボールを織り交ぜる投球スタイルで、終盤でも球速が落ちないスタミナもあり、東都大学野球では2部での登板が続きましたが、ドラフト上位候補として注目されていました。

2位 松本 健吾(投・右投右打)東海大菅生高→亜細亜大→トヨタ自動車
3位 石原 勇輝(投・左投左打)広島・広陵高→明治大
4位 鈴木 叶(捕・右投右打)静岡・常葉大菊川高
5位 伊藤 琉偉(内・右投右打)群馬・東京農大二高→新潟アルビレックスBC

育成1位 高橋 翔聖(投・右投右打)台湾・鶯歌工商高
育成2位 高野 颯太(内・右投右打)島根・三刀屋高
《選択終了》

◆日本ハム(パ・6位)

=指名選手一覧=
1位 細野 晴希(投・左投左打)東京・東亜学園高→東洋大

最速158キロの力強いストレートが持ち味の左ピッチャーです。東京都出身で東亜学園では、3年生の夏の東東京大会で初戦となった2回戦で敗れ、甲子園の出場はありませんでした。高校時代のストレートの最速は140キロでしたが、筋力トレーニングなどに力を入れ東洋大学に進学後は15キロ以上球速を上げました。東都大学野球では1年生の秋にデビューし、4年生の春には2部で5勝0敗、防御率0.82、投球回数を上回る58個の三振を奪う活躍を見せ、2部のMVP=最優秀選手を受賞しました。身長1メートル80センチ、86キロの体格を生かしたストレートとスライダーやチェンジアップなど多彩な変化球も持ち合わせています。ことしの大学日本代表にも選ばれていて、8月に東京ドームで行われた高校日本代表との試合ではストレートが自己最速を更新する158キロを計測するなど注目を集め、即戦力と期待されていました。

2位 進藤 勇也(捕・右投右打)福岡・筑陽学園高→上武大
3位 宮崎 一樹(外・右投右打)山梨学院高→山梨学院大
4位 明瀬 諒介(外・右投右打)鹿児島城西高
5位 星野 ひので(外・右投右打)群馬・前橋工業高

育成1位 濱田 泰希(内・右投右打)京都国際高
育成2位 平田 大樹(外・右投左打)滋賀・瀬田工
育成3位 加藤 大和(投・左投左打)岐阜・帝京大可児高
《選択終了》

◇中日(セ・6位)

=指名選手一覧=
1位 草加 勝(投・右投右打)岡山・創志学園高→亜細亜大

細身ながら最速153キロのストレートと豊富なスタミナが持ち味の右ピッチャーです。岡山県出身で創志学園では、2年生の夏に現在、プロ野球・阪神に所属する同学年の西純矢投手とともに甲子園に出場しました。進学先の亜細亜大では、2年生の春のリーグ戦からベンチ入りし、3年生の秋のリーグ戦では7試合に登板し、2勝負けなし、防御率0.29の成績で最優秀防御率のタイトルと敢闘賞を受賞しました。さらに、ことしの春のリーグ戦では、登板した9試合のうち6試合で完投し、6勝3敗、防御率1.52の好成績をマークして、最優秀投手賞とベストナインに選ばれました。身長1メートル82センチ、体重は75キロと細身ながらストレートの最速は153キロに達しツーシームやスライダーなどの変化球でバッターのタイミングを外すピッチングも持ち味のほか、豊富なスタミナも評価されていてドラフト上位候補と注目されていました。

2位 津田 啓史(内・右投右打)横浜高→三菱重工East
3位 辻本 倫太郎(内・右投右打)北海高→仙台大
4位 福田 幸之介(投・左投左打)大阪・履正社高
5位 土生 翔太(投・右投右打)横浜高→桜美林大→茨城アストロプラネッツ
6位 加藤 竜馬(投・右投両打)大阪偕星学園高→亜細亜大→東邦ガス

育成1位 日渡 騰輝(捕・右投左打)茨城・霞ヶ浦高→茨城アストロプラネッツ
育成2位 菊田 翔友(投・右投右打)愛知・享栄高→愛媛マンダリンパイレーツ
育成3位 尾田 剛樹(外・左投左打)和歌山・高野山高→大阪観光大→栃木ゴールデンブレーブス
育成4位 川上 理偉(内・右投右打)大分高→宮崎福祉医療カレッジ→大分B‐リングス
《選択終了》

《各球団1位指名選手・監督談話》 【選手 動画あり】

◆オリックス

上田西高校の横山聖哉選手は「1位で指名されるとは思っていなかったのでびっくりしています。素直にうれしいです。オリックスは本当に強いチームで、一野球ファンとしてとても好きな球団でした。投打で日本球界を引っ張っているチームだと思います」と話しました。また、打撃面で目標としている選手にオリックスから大リーグに挑戦した吉田正尚選手を挙げ、これまでもバッティングフォームを参考にしてきたことを明かしたうえで「肩の強さは、プロに行っても自信を持てるポイントだと思っています。将来は球界を代表する選手になりたいです」と決意を新たにしていました。

中嶋聡監督は「ほっとしている。スケールの大きい野手はなかなかいないので、本当に取れてよかった。このスケールの大きさを前面に出してやってほしい」と話していました。

◇阪神

青山学院大の下村海翔投手は都内の大学のキャンパスでドラフト会議の様子を見守りました。そして阪神から1位で指名されると、少し驚いた表情を浮かべたあと、笑顔を見せていました。下村投手は記者会見で「こんなに早く呼ばれると思っていなかったので、びっくりしたのが最初の感想だ。正直、指名された瞬間は頭が真っ白になった」と心境を語りました。阪神の印象については「兵庫県西宮市出身で阪神の試合を小さい頃から見てきたのでうれしかった。自分もそうだがファンが熱狂的で地域の人から愛されているチームだ」と話しました。また、ドラフト会議の様子を一緒に見守り、広島が交渉権を獲得したチームメイトの常廣羽也斗投手については「常廣投手がいたから頑張れた。負けたくないと思って練習し、支えられてきたので、対戦するときは思いをぶつけたい」と話しました。その上で「阪神にはすばらしい投手がいっぱいいるが、戦力になれると思うので、頑張りたい。ファンから愛される選手になれるよう“関西魂”で頑張ります」と意気込みを話していました。

岡田彰布監督は「何人か候補はいたが、きのうの夕方の会議で決めた。ほかの球団の指名をシミュレーションし考えたのがズバリはまった。重複しないようにとちょっと祈っていた」と話していました。下村投手の魅力については「ことしは村上頌樹投手がブレークしたが、ちょっと似たタイプで、カットボールがエグいと聞いている。チームには若いピッチャーがすごく多いし同じ世代のピッチャーもいるので、いい競争をしてはやく1軍の戦力になってほしい」と期待を寄せていました。

◆ロッテ

明治大の上田希由翔(きゅうと)選手は東京・府中市にある野球部の合宿所で4年生のチームメートなど、およそ30人と一緒にドラフト会議の様子を見守りました。ロッテから指名を受けると、ほっとした表情を見せ「ロッテはたくさんの方から愛されている球団だと思う。チームやコーチ、レベルの高い環境でやらせていただけるので、うれしく思っている」と話しました。みずからのウリについては「勝負強いバッティングとともに、率を残して安定したバッティングができるのが強みだ」とした上で「希由翔というのは珍しい名前なので、下の名前で呼んでほしい」とアピールしていました。

ロッテの吉井理人監督は1位指名の抽せんを3回外して上田選手の交渉権を獲得したことについて、苦笑いしながら「よく外れました」とした上で「バットに当てるのがうまい選手と聞いている。ロッテの顔になるような選手になってほしい。よかったら来てください」と期待を込めました。そして、イメージする選手像については「じっくり彼のプレーを見たことがないので来てから考えたい」と話していました。

◇広島

青山学院大の常廣羽也斗投手は都内の大学のキャンパスでドラフト会議の様子を見守りました。そして広島と楽天が1位指名し、抽せんの結果、広島が交渉権を獲得するとほっとした表情を見せてました。常廣投手は記者会見で「まずは、ほっとした。4年間、ドラフト1位で指名されることを目標に練習してきたのでとてもうれしい」と喜びを語りました。また、広島の印象については「事前に指名を公言して評価してくれた球団に入りたいと思っていたのでうれしい。ファンの熱量がすごくあるチームで、新井監督も素敵な人で人間性のある監督だなと思うのでとても楽しみ」と話しました。また「森下暢仁投手のようなストレートで空振りを取れる投手になりたい。1年目からチームの勝利に貢献できるように頑張りたい」と同じ大分県出身で広島で活躍する投手を目標に掲げ意気込みを話していました。

新井監督は「すごく緊張した。ほっとしている。おそらく競合すると思っていたし『くじでもなんでもこい』という気持ちだった」と興奮冷めやらぬ様子で振り返りました。常廣投手については「即戦力だと考えている。うちの中心になれる投手だと思うし、その先には日本代表の中心になれるようなすばらしい素材を持った投手だと思う。私がバッターだったらおそらくなかなか打てない」とユーモアを交えて印象を語りました。そのうえで「うちにはいい先輩がいるのでしっかり学んで成長してほしい。名前からして『島』なので縁を感じずにはいられなかった。広島はアットホームで温かいチームなので心配せずに来てほしい。みんな両手を広げて待っている」と歓迎していました。

◆ソフトバンク

大阪桐蔭高校の前田悠伍投手は大阪・大東市の高校で西谷浩一監督や野球部のチームメートなどと会議の様子を見守り、日本ハムと楽天、それにソフトバンクの3球団から2回目の1位指名を受けると大きな拍手が送られました。前田投手は、表情を崩さずにテレビの画面をじっと見つめていましたが、抽せんの結果、ソフトバンクが交渉権を獲得し花束が贈られると、ようやく笑顔を見せました。会見した前田投手は「まずはプロ野球に行くまでに体作りなどよい準備をしたい。1年目から活躍できる投手になりたいです」と意気込みを語りました。チームやパ・リーグの印象については「高校の時、あまりプロ野球を見ていなかったのでよくわからないが、早く1軍で活躍したいです」と話しました。またソフトバンクで気になる選手がいるかと聞かれ「自分にとってよい選手とは、プロで長く活躍できる選手です。42歳のベテラン、和田毅投手に話を聞きたいです」と意欲を示しました。来シーズンから小久保裕紀監督がチームの指揮を執ることについては「現役時代から活躍した方なのでそうした人のもとでプレーできることがうれしいです」と笑顔を見せていました。

小久保裕紀監督は「高校生の中ではナンバーワン評価の揺るぎないピッチャーだと聞いているので、1年目からどれだけ投げさせられるのかどうか球団と話し合いながら決めていきたい」と話しました。その上で「将来的には日本代表にも選ばれる球界を代表するピッチャーになってほしい」と期待を寄せていました。

◇DeNA

ENEOSの度会隆輝選手は、川崎市でドラフト会議の様子を見守りました。そして3球団から1位で指名され、抽せんの結果、DeNAが交渉権を獲得すると涙を流して喜びました。度会選手は記者会見で「めちゃくちゃうれしくてほっとしたというかうれしすぎて気づいたら涙と鼻水が出ていた。3年前にプロ志望届を出して指名漏れをして3年間やってきて最高の結果になった。とても幸せです」と笑顔で話しました。プロ野球・ヤクルトでプレーした父親の博文さんについて「小さい頃から野球を教えてもらいここからが恩返しできるチャンスだ。父に『おれを超えたね』と言ってもらえるようにしたい。超えたときが初めての親孝行なのかなと思う」と話していました。そしてDeNAの印象について「小さい頃から大好きなチームで応援もかっこよくファンも温かい人が多い。先日練習試合をしたときもチームの雰囲気が明るくて楽しくていいチームだった。少しでも貢献できるよう全力で頑張りたい」と話しました。また、「バッティングが一番のセールスポイントで大事なところでチームを勝たせるヒットやホームランが打てるところが長所だ。チームを勝たせる、優勝に貢献する、活躍をできたらいいなと思う。見てる人を笑顔にできるように頑張りたい」と意気込みを話しました。

三浦大輔監督は「めちゃくちゃうれしかった。一気に心拍数が上がって興奮した」と話していました。そして度会選手について「走攻守すべてそろったバランスの取れた選手だ。先日行った練習試合でも広角に打てるバッティングでドラフト候補生だと思って見ていた。地元・横浜高校からDeNAにきて地元を代表する選手になってほしいし、チームを引っ張っていってほしい」とエールを送りました。

◆楽天

桐蔭横浜大の古謝樹投手は、横浜市の大学のホールで野球部員の仲間たちとともにドラフト会議の様子を見守りました。楽天から1位で指名されると安堵の表情を浮かべ「1人目で指名されることができて自分としてもやっぱり評価されているんだなと実感した。驚きとうれしさの両方があった」と話していました。楽天の今江敏晃監督については「プロ目線で自分が投げたときの癖やまだまだ成長できるところなど今江監督にしかわからない部分があると思うので、そういうところを積極的に聞いていきたい」と話していました。そして「1年目から任された場面で腕を振って結果を出せるように頑張りたい。1年でも長くけがのない現役生活を送りたいと思うし、ファンの皆さんや子どもに夢が与えられる選手になりたい」と意気込んでいました。

今江敏晃監督は、古謝投手について「即戦力のピッチャーをまずいきたかった。古謝投手は左ピッチャーで速球の威力がありボールの出どころが見えにくいフォームをしているのでバッターは打ちにくいと思う」と評価しました。その上で「もちろん即戦力と考えているし1年目から先発ローテーションに入る可能性もあると思う。一緒に東北を盛り上げよう」とメッセージを送っていました。

◇巨人

中央大の西舘勇陽投手は東京・八王子市の大学のホールでモニター越しにドラフト会議の様子を見守り、日本ハムと巨人から1位で指名されても終始、表情を崩しませんでした。そして、抽せんの結果、大学の先輩でもある巨人の阿部慎之助監督が交渉権を獲得すると一瞬、表情を緩めました。西舘投手は記者会見で「ドラフト1位を目標に4年間毎日取り組んできた。選んでいだだけてうれしい。阿部監督のもとでレベルアップしたい」と喜んでいました。巨人や阿部監督の印象について質問されると「歴史ある伝統のあるチームだし阿部監督は小さい頃のレジェンド選手でともに野球をできることがうれしい」と話していました。そして、目標については「まず1年間、1軍にいること。先発で1年間投げてふた桁勝利をあげたい」とした上で、「大学の先輩の阪神の森下翔太選手と対戦したい」と意気込んでいました。

初めてドラフト会議に臨んだ阿部慎之助監督は「うれしさ半分、ほっとしている半分です。壇上に上がったときに下からじわっとくる緊張感がすごくあった」と話していました。そして「2軍監督をやってるときにも練習試合で見たことがあるが、すごく力のあるピッチャーだ。『戦国東都』と言われているところで修羅場をくぐってきているピッチャーだと思っている」と評価を話した上で、同世代の佐々木朗希投手のような活躍を期待するか聞かれると「そういう逸材だと思っているので、いいものを引き出せるようにこちらがやっていきたい」と話していました。

◆西武

国学院大の武内夏暉投手は横浜市の大学キャンパスで野球部員の仲間たちに見守られるなか、鳥山泰孝監督とともにドラフト会議の様子を見守りました。3球団によるくじ引きの結果、西武が交渉権を獲得すると武内投手は笑顔を見せました。鳥山監督からは「西武は伝統的に良い投手が育っている球団。その環境の中で頑張れ」と声をかけられ、しっかりとうなづいていました。その後の記者会見で武内投手は「午前中からグランドに出て軽く練習していましたが、そわそわしてしまい早くこの時間になればと思っていた。さっきまでドキドキして西武に決まった瞬間はうれしかった。同じ大卒の左ピッチャーで隅田投手もいるので成功体験や失敗体験などいろいろ聞いてみたい」と笑顔を見せました。また、アピールポイントを問われると「左右のバッターに関係なくインコースに投げられる制球力がある。即戦力として期待されていると思うので1年目の開幕からローテーションに入って新人王を目指したい」と話していました。そして将来の目標に日本代表になることを挙げて「ことしのWBCの戦いを見て自分もあの舞台に立ちたいと思った。いまはまだその舞台は見えないが、1つ1つ積み上げていきたい」と希望にあふれた表情で語っていました。

松井稼頭央監督は、3球団競合の末、国学院大の武内夏暉投手の交渉権を獲得したことについて「球団や編成の皆さまの思いもありながら交渉権獲得を引き当てたのはうれしい。ほっとして力が抜けている」と話していました。そして「ナンバーワンの評価というのも聞いていたし、映像でもスピード、右にも左にもインサイドに投げられるコントロールがある。若い投手が多いので切磋琢磨(せっさたくま)してもらい将来的には西武のエース、日本を代表するエースに成長してほしい」と期待を寄せました。

◇ヤクルト

専修大の西舘昂汰投手は川崎市にある大学のキャンパスでドラフト会議の結果を見守りました。ヤクルトから1位で指名されると会場からはわれんばかりの拍手と歓声が上がり、西舘投手も緊張した表情から一気に笑顔になりました。西舘投手は記者会見で「きのうの夜からあまり眠れず、不安な気持ちもあった。実感はないが、本当にほっとしている。東都大学の2部のリーグでやってきて実績があるわけではないので、感謝でいっぱいだ」と率直な思いを話しました。球団の印象については「東京にあるということで、都会のチームというイメージだ」とした上で「バッティングもしたかったので、バッティングも頑張っていきたい」と会場の笑いを誘っていました。巨人が1位指名し交渉権を獲得した同じ名字の中央大の西舘勇陽投手については「自分は『じゃないほうの西舘』と言われることが多く、それが悔しかった。まっすぐに力がある選手だと思うが、そこは負けられないステータスだと思っていて、僕自身はライバル視している」と話していました。そして、プロで目指すピッチャー像を聞かれると「ファンに応援されるような選手になりたい。球団は違うが楽天の松井裕樹投手のような投げっぷりのいい投手になりたい」と意気込んでいました。

高津監督は「非常に迷ったが、抽せんで外れたあとに、まさか単独指名できると思っていなかったので非常にうれしい」と喜びを語りました。西舘投手の印象については「スピードもコントロールも変化球もいいが、特に制球力が素晴らしい。変化球を制球できるというのは、1軍でもできるかどうかというところなので、そういうところを評価した」と話しました。先発での起用を考えているということで「ローテションに入ってもらいたい。1年目だが、1年目じゃないようなピッチングをしてほしい。チームを引っ張ってくれるような投球を期待している」と話していました。

◆日本ハム

東洋大の細野晴希投手は、東京・文京区の大学キャンパスでドラフト会議の様子を真剣な表情で見守り、自分の名前が読み上げられると、ほっとした様子を見せました。細野投手は「細野の『ほ』という音が早く流れてきてほしいと思いながら見ていた。プロ野球は夢だったので、指名してもらえてうれしい」と心境を話しました。対戦したい選手については、大谷選手の名前を挙げ「もし対戦できる機会があれば自分のストレートがどこまで通用するのかを試してみたい」と話していました。また、3回目の指名で名前を呼ばれたことについては「選んでもらえて光栄だが同級生のライバルが先に呼ばれていくというのは悔しい思いもあった。この気持ちが自分の成長につながると思ったので忘れず、頑張っていきたい」とプロでの活躍を誓いました。

新庄剛志監督は「くじで外れたのは悔しかったが、細野投手を取れた。158キロはめちゃくちゃ魅力なので逆によかったなと切り替えている」と話しました。その上で「自分でつかんだプロ野球の世界なので1年目は好きなようにやってもらって好きなパフォーマンスをしてもらってローテーションを勝ち取ってほしい」とエールを送りました。

◇中日

亜細亜大の草加勝投手は、東京・武蔵野市のキャンパスでドラフト会議の様子を見守りました。そして、2回目の1位指名で中日とロッテから指名され、抽せんの結果、中日が交渉権を獲得すると、チームメイトから祝福されてほっとしたような表情を見せました。草加投手は記者会見で「まさか競合になるとは思っていなかったので、うれしい反面、驚きの方が大きかった」と、振り返りました。また、中日の印象については「名古屋のみなさんから愛される球団だと思っている」と話しました。そして、自分の持ち味については「ストレートのキレとコントロールが売りだ」と話した上で「チームの大黒柱になれるピッチャーになりたい。体の線が細いので体を作り、息が長くて常にけがなくずっと投げ続けられる投手を目指したい」と意気込みを話しました。

中日の立浪和義監督は「初めての抽せんで異様な緊張感の中、度会選手を獲得できなかったことは残念だった。もう一度外すと非常に厳しい中で、草加投手といういい投手の交渉権を得ることができてうれしかった」と話していました。その上で「草加投手はコントロールもよくスピードも出るピッチャーだ。将来的にはエースと言われるようなピッチャーを目指してほしい」と述べ、期待を寄せました。

東都大学野球から投手だけで7人のドラフト1位指名

ことしのドラフトでは3球団が競合した国学院大の武内夏暉投手や2球団競合の青山学院大の常廣羽也斗投手など前評判の高かった東都大学野球に所属する7人のピッチャーが1位指名を受け58年のドラフトの歴史の中でも異例となりました。

ことしは即戦力と評価される大学生ピッチャーが多く、特に東都大学野球のピッチャーが1位候補として数多く名前があがっていました。今回のドラフトでは、国学院大の武内夏暉投手、青山学院大の常廣羽也斗投手、中央大の西舘勇陽投手、東洋大の細野晴希投手青山学院大の下村海翔投手、亜細亜大の草加勝投手、そして2部の専修大の西舘昂汰投手と東都大学野球から7人ものピッチャーが1位指名を受け、1つのリーグからのドラフト1位指名としては58年のドラフトの歴史の中で異例の多さとなりました。

東都大学野球では、ここ20年を振り返っても3人が最多で、東都大学野球連盟の関係者は「今まで7人も1位指名を受けたというのは見たこともないし、聞いたこともない」と話しています。最近では、2020年に東京六大学から早稲田大の早川隆久投手、慶応大の木澤尚文投手、明治大の入江大生投手、法政大の鈴木昭汰投手の4人が1位指名を受け、注目を集めていましたが、今回はそれを大きく上回り、前評判の高さを裏付ける結果となりました。

注目の高校生 指名なかった選手も

ことしのドラフト会議では甲子園で活躍し「プロ野球志望届」を提出していた注目選手が指名されませんでした。このうち沖縄尚学高校の東恩納蒼投手はことしの夏の甲子園でエースとしてベスト8入りに貢献したほか、台湾で行われた18歳以下のワールドカップでは5回の参考記録ながら完全試合を達成するなど、ベストナインに選ばれる活躍を見せ注目を集めていましたが指名されませんでした。また、広陵高校の真鍋慧選手は、高校通算62本のホームランを打った長打力が最大の持ち味でプロ野球のスカウトからも強打の内野手として将来性を評価されていましたが、こちらも指名されませんでした。

【解説】豊作で“競合覚悟”のドラフトに

ことしのドラフト会議は、大学生のピッチャーを中心に即戦力と言われる選手が数多く名を連ね、各球団が競合覚悟で1位指名を行った結果、抽せんが合わせて7回行われ、2回だけだった去年とは大きく異なるドラフトとなりました。

各球団のスカウトが大学生のピッチャーを中心に、ことしのドラフト候補の面々を高く評価する中、ドラフト本番を前に1位指名を公表したのは4球団のみと、9球団だった去年から大きく減りました。

去年は「1位候補のレベルの選手が12人そろわなかった」というスカウトもいる中、早めに1位指名選手を公表することで他球団をけん制する動きが相次ぎました。抽せんを外した場合のリスクを回避するのが狙いで、この結果、9球団が違う選手を事前に公表し、このうち7球団が狙った選手の「一本釣り」に成功。ドラフトのだいご味でもある競合による抽せんは2回だけと波乱の少ないドラフトでした。

一方で、ことしは去年とは打って変わったドラフトとなりました。あるスカウトは即戦力と評価される選手が数多くそろう中「事前公表せずに1位で競合し、仮にくじで外れたとしても1位と遜色ないほどの選手が残っている可能性が高い」と実情を話したように、公表して他球団をけん制する必要がなかったことが、事前公表の少なさにつながりました。

【単独指名は2球団のみ】
終わってみれば、単独指名は阪神とオリックスの2球団のみ。充実した戦力でレギュラーシーズンを制したセ・パの優勝チームが競合の可能性が高かった選手を結果として回避した形となりました。

一方で、ほかの10球団は“競合覚悟”での指名となり、去年2回だった抽せんは7回にのぼり、最後まで残ったロッテは4回目の指名でようやく1位が決まりました。

また、ことしの指名選手は72人で去年の69人と比べて大きな変化はありませんでしたが、独立リーグの選手2人が2位で指名を受けるなど、例年にはない動きもありました。

育成選手の指名は50人で去年より7人減り、楽天は育成選手の指名がゼロ、今シーズンから12球団で初めて4軍をつくったソフトバンクは8人を指名するなど、各球団の育成や編成の方針を色濃く反映したものとなりました。

《ドラフト会議 指名の流れは》

ドラフト1位については複数の球団で指名選手が重複した場合は抽せんとなり「交渉権確定」とスタンプが押された“くじ”をひいた球団が交渉権を得ることができます。1回目の抽せんを外したあとの指名でも複数球団で重複した場合は抽せんが行われます。

2位指名以降は、シーズンの順位が下位の球団からセ・パ交互に順に指名する「ウエーバー方式」で進みます。セ・パの指名順は1年ごとに入れかわり、ことしはセ・リーグが先でセ、パの順に下位から交互に指名が行われます。

このため2位指名は中日→日本ハム→ヤクルト→西武→巨人→楽天→DeNA→ソフトバンク→広島→ロッテ→阪神→オリックスの順となります。

一方、3位指名は2位指名とは逆になりオリックス→阪神→ロッテ→広島→ソフトバンク→DeNA→楽天→巨人→西武→ヤクルト→日本ハム→中日の順となります。

4位指名は再び下位の球団から、5位指名は上位球団からと繰り返します。1つの球団が指名できるのは原則10人以内で、12球団全体では120人を指名することができます。ただ、国内の独立リーグ所属選手や外国のプロ野球の選手を指名した場合は人数に含まれません。また、120人に達していない場合は希望する球団が11人目以降の指名に入ることができます。そしてそのあと育成選手の指名に移ります。