何の前触れもなく、思い当たる節もない。夫婦仲もよかった。なのに、ある日突然、配偶者が自ら命を断ってしまう。
SPEEDの上原多香子(31)の夫で「ET−KING」のTENNさんが先月25日、自殺した。35歳。週刊誌も原因を探るべく取材に動いたが、今週の記事に“確信”はない。「収入格差」「うまくいかない仕事」などの言葉が並んだが、裏付けは薄い。関係者も「上原本人も心当たりがないと言っており、原因不明です」と答えるばかり。真相は闇の中。
1990年公開の仏映画「髪結いの亭主」を思い出した。美しい髪結いの女に求められ、男が亭主に収まる。2人は踊り、飲み、幸せで楽しい日々を送る。ある日濃厚なセックスの後、女は「買い物に行ってくる」と言い残し、雷が鳴る土砂降りの雨の街に走り出し、洪水のような川に飛び込んでしまう…。
最初に見たとき、意味が分からなかった。なぜ幸せなのに、女は前触れのない死を選んだのか。大人になって見直し、幸せの絶頂で死んだら永遠に幸せで、女はそんな思いを実現するために身を投げたのでは、と考えるようになった。