売れっ子俳優・八嶋智人の素顔…タモリになりたい

2012.08.22


八嶋智人【拡大】

 出世作となったドラマ「古畑任三郎」の刑事役をはじめ、大河ドラマからバラエティー番組の司会、そしてホームグランドの劇団員など八面六臂の活躍。シリアスとコミカルを紙一重で繰り出す才人といわれる売れっ子俳優が八嶋智人(41)だ。

 「初主演映画『秋深き』の故・池田敏春監督に『フランクさが持ち味なんだから』と言われたことが印象に残っています。結局、僕は適当なんですよ、ハハハ」

 軽妙な語り口やハイテンションな芝居でおなじみだが、トレードマークの眼鏡の奥の瞳からは細やかな感覚と思慮深さがのぞく。

 生来の目立ちたがり屋が高じて役者を志した。野田秀樹の「夢の遊民社」、鴻上尚史の「第三舞台」など小劇場ブームだった大学在学中の90年、劇団カムカムミニキーナを旗揚げし、看板役者として活躍。舞台を観に訪れた三谷幸喜に気に入られ、「古畑任三郎」にキャスティングされ、スター入りのキップをつかんだ。

 いかにも如才なさそうだが、素顔はどうか。

 「たいてい、いっぱいいっぱいですよ。でも緊張、集中力がフルになって、そこから何か出てくるものじゃないですか? 以前タモリさんと話をした時に『等身大の演技ってよく言うけど、それでよく客から金が取れるな』とおっしゃって。僕も本当にそう思っていたので、うれしかったです!」と、プロ根性は並みではない。

 タモリ、高田純次の粋さが「憧れ、あんな風になりたい」と“眼鏡王子”の瞳はキラキラ輝く。

 極限勝負のような俳優業から自分をリセットできるのは、家族との時間だという。

 「5歳になった長男を見ていたり、父になって自分の父がこうやって育ててくれたのかなと思うと、過去、今、未来と大きなうねりの中にいるんだと感じ、リラックスできるんです」

 現在放送中のドラマ「遺留捜査」第2シリーズ(テレビ朝日系、木曜午後9時)では、上川隆也(47)扮する主人公の変人刑事・糸村の好敵手である佐久間刑事を演じる。

 遺留品から被害者の想いを汲み取ろうと毎回、単独捜査に突っ走る糸村と、正攻法の捜査をする佐久間は、水と油。演技派同士の掛け合いが大きな見どころだが、そこにも緻密な役作りがある。

 「監督から『いつ何時も糸村を疎ましく思っていてほしい』とオーダーされまして、そこからキャラクターを肉付けしています。佐久間は話が進むにつれ、微妙に変化しつつある。事件を鮮やかに正確に解決する糸村を周りが徐々に認めつつある中、認める訳にはいかないものの、嫉妬などの複雑な感情から、本来持つ真面目さが出てきていると思っているんです」

 実社会でも、水と油の相性の相手と接するケースがありがちだが…。

 「僕はどんな相手でも白紙のイメージで入り、好きからスタートして、仕事が終わる頃には大好きになっちゃう。基本的に自分が好きだから他人も好きになれる。よく海外旅行に行ってこれまでの自分を断ち切り…みたいな話を聞きますが、過去も含め、自分の全てを受け入れ好きにならないと…ネ!」

 ■八嶋智人(やしま・のりと) 1970年9月27日生まれ、奈良市出身。日大文理学部卒。90年に劇団カムカムミニキーナ旗揚げ。

 「遺留捜査」の23日の放送では“主人公”として捜査に走り回る。劇団の本公演「ひーるべる」(11月1〜11日、東京・座高円寺など)が控えている。

 

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