寅さん物マネ本家公認、芸能活動はや半世紀

2011.06.09


原一平【拡大】

 映画「男はつらいよ」で渥美清さん演じる車寅次郎のそっくりさんといえば、原一平だ。

 「歌は得意でしてね」

 旭川から上京。専修大学在学中から「のど自慢」荒らし。「予選会に出ては賞金。あるラジオの番組では優勝もしましたよ」。歌唱力を武器に全国を営業して回わっていたという。

 大学卒業後、大手楽器メーカーに就職も、モノまねを続け芸能活動と二足のワラジ。20代で支店長クラスの仕事を任され将来を嘱望されていたが、「テレビのワイドショーで寅さんの格好をして海外旅行のリポーターをやりましてね」。番組の視聴率は上昇、好評を得たのを機に1973年に脱サラ。芸人に勝負を賭けた。モノまねのレパートリーは寅さん以外にも、三橋美智也、小林旭、三波春夫など50人以上。早がわりの声帯・形態模写。身ぶりと声色は一級品だ。

 「50年っていうのは芸能生活じゃなくて活動。学生時代から始めた音楽活動の節目の年なんです」

 12日に芸能活動半世紀を記念した公演、「もう一人の寅さん 原一平リサイタル」を東京・浅草の東洋館で開く。ゲストは自らが副会長を務める東京演芸協会の芸人を中心に12組。「男はつらいよ一色で、御前様と寅、タコ社長と寅の1人コント。ほかに、モノまね七変化。オリジナル曲も歌います」。東日本大震災の被災者に向け募金も行う。

 モノまねレパートリーのひとつだった寅さん。四角い顔を生かした芸は、本家から“公認”のお墨付き。「関敬六さんの紹介でお目にかかって『雑草のごとく、踏まれても、踏まれても生きのびる芸人目指し頑張りましょう』と声をかけていただいたのを忘れません」と振り返る。身につけている衣装は譲り受けたものだが、トランク、帽子などグッズは「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京系)で高価の鑑定結果だった。

 記念公演を終えてからも引っぱりダコ。日本全国を駆け巡り、寅さんのように芸の旅は続く。(演芸評論家 高山和久)

 

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