坂上二郎さん急死 コント55号で活躍「飛びます、飛びます」

2011.03.10


2003年に脳梗塞で倒れ、リハビリで復活を果たしていた坂上二郎さんだが、再び脳梗塞で還らぬ人に。屈託のない笑顔が印象的だった【拡大】

 萩本欽一(69)とのコンビ「コント55号」で日本の軽演劇・コメディー界で一世を風靡したコメディアンで、俳優としても映画や舞台で活躍していた坂上二郎さんが10日午前9時40分、脳梗塞の再発のため、入院先の栃木県那須塩原市内の病院で死去した。76歳だった。鹿児島県出身。葬儀は近親者のみで行う予定。

 二郎さんは昨年8月13日、自宅の台所で転倒、頭を強打して栃木県内の病院に入院していた。入院の事実は同年10月、コント55号以来の盟友、萩本が公表。二郎さんは、2003年9月、ゴルフのプレー中に発症した脳梗塞が進行し下半身がまひしたものの、意識はしっかりした状態で、そのまま闘病を続けていた。

 二郎さんは、1934年鹿児島市生まれ。中学卒業後、百貨店勤務のかたわら、『NHKのど自慢コンクール』の県大会優勝を機に歌手を目指して上京。歌手としては才能を発揮できないまま、「浅草フランス座」のコメディアンとなり、幕間コントで共演したことをきっかけに66年、萩本とコント55号を結成した。

 もともとは、幕間の即席コンビだったが、浅草松竹や日劇の人気が広まり、演芸ブームも相まってテレビ出演が急増。「飛びます、飛びます」「コタローね」といったギャグで一世を風靡し、「チッコイ目の二郎さん」と親しまれ、体を張った萩本のツッコミを全身で受け止める姿が老若男女の爆笑を誘った。

 中でも、69年スタートのバラエティー番組、『コント55号の裏番組をぶっとばせ!』(日本テレビ系)では、アイドル歌手やグラビアタレント相手に野球拳を敢行。当時としては過激な内容に苦情も相次いだが、全国の男性の圧倒的な支持から高視聴率を維持。一躍トップコメディアンにのし上がった。

 一方、70年代前半からは、俳優としてテレビドラマ、映画、舞台でも活躍。刑事ドラマ「夜明けの刑事」シリーズ(TBS系)では主役の人情派刑事を好演し新境地を開拓。76年のコント55号の活動中止以降は、完全に俳優業に軸足を移行し、NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」にも出演するなど、硬軟織り交ぜた技巧派俳優としての地位を築きげた。

 03年9月、ゴルフ中に脳梗塞で倒れ、一時危篤状態に陥ったが、リハビリの末に翌年1月、東京・明治座のコント55号公演で完全復活。06年3月には舞台劇「富豪と、嘘と、のぞみ」にも出演していた。

 

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