インカ帝国の遺跡というと空中都市「マチュ・ピチュ」が有名ですが、その都は300年以上にわたってペルーのクスコにありました。現地のケチュア語で「へそ」を意味するこの都市は、ペルー南部、アンデス高原の標高約3400メートルの高地にあり、1533年にスペイン人ピサロに征服されるまでは、太陽神殿など多数の遺跡が残り、黄金色に輝く「太陽の町」と呼ばれていました。
「太陽の帝国」インカの伝説によると、太陽神インティ(一説では創造神ビラコチャ)は、息子マンコ・カパックと娘ママ・オクリョを地上に遣わしました。そしてチチカカ湖の「太陽の島」に降り立ったマンコ・カパックが、インティより授かった金のつえを投げると、つえは「大地のヘソ」クスコを指したので、マンコ・カパックはクスコに太陽神殿コリンカチャを建て、太陽の民衆インカを創造し、インカ帝国を起こしたといわれています。
しかし、「太陽の沈まぬ帝国」を築いたスペイン帝国が、この「太陽の帝国」インカ帝国を滅ぼし、「太陽の町」の石組や平面プランを土台に町を再建しました。そのため、現在見られるクスコの街並みはこれらふたつの帝国文化が融合したもので、1粒で2度楽しめる要素があります。