「宇宙刑事ギャバン」の主人公、一条寺烈を演じたアクション俳優、大葉健二さんと初めて対面したのは、1981年、スチール撮影のときだ。初の主演作ということで気合が入っていたのか、「生意気ですが、命懸けで演じます!」と熱い口調であいさつしていた。
長期にわたってギャバンのコミカライズを連載することになった私は「命懸け? 少し大げさなんじゃないか?」と思いつつも、睡眠や食事を削っての執筆作業になるのだから、「僕も命懸けで描きます! 映像の主人公を演じるのは大葉さんだけど、漫画で主人公を演じるのは僕です!」と言ってしまった。今思えばお恥ずかしい限りなのだが、まだ24歳だったし、世間知らずでとがっていたのだ。
ただ大葉さんは「僕はのなかさんの絵が大好きです。映像と漫画で、良い意味で戦いましょう!」と言ってくれた。こちらも胸が熱くなった。
いよいよテレビ放送に向けて撮影が始まると、大葉さんの「命懸け」という言葉の意味がビシビシと伝わってきた。通常、主役にケガをさせないためにアクションシーンは少しにして変身後もスーツアクターに委ねるが、大葉さんのアクションは変身前のほうがはるかに多いという異例のもの。しかも彼が挑んだのは、ダムの壁をスレスレにターザンのようにロープで渡るなど、一歩間違えたら死に直面するのではないかというアクションの連続だったのだ。