★村松友視『老人流』(河出書房新社 1200円+税)
人は年齢を重ねたからといって、だれでも「老人」になれるわけではない。そう主張する著者が、老人の面白さを追求した夕刊フジ連載のエッセイ集をまとめた第2弾。巷で人間力を発揮する真の老人の見分け方、魅力、正体について聞いた。(文・たからしげる 写真・桐山弘太)
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■中高年よ、目の前のことに熱く関わるべし!
--執筆のきっかけは
「幼少時から祖母に育てられたという家庭環境と、長く文芸誌の編集者をしていた経験が影響していると思います。幼少期でも大人に囲まれ、20代のころから高齢の、特に作家たちと多く接触してきました。見事に年を重ねた人はすごいなあ、という気持ちがずっとありました。年を重ねて老人の見事さを見せてくれる人と、そうでない人がいます。それが連載時のタイトル『老人のライセンス』になりました。誰でも老人になれるようで、老人になるにはライセンスがいる、と」
--今作のタイトルを「老人流」としたのは
「自分が後期高齢者になったとき、昔の65歳といえば大人としてのさまざまな風格を満たしている人たちだったのに、自分はどう考えてもそのようには思えませんでした。昔の見事な老人たちを思い出しながら、そこに到達しない人間として、彼らが持っていたユーモア、姿、形、佇まいの見事さなどを『老人流』として伝えたいと思いました」