「平和を意味するわけではない」中立国、スイスは兵力14万人の重武装…直接的な戦火を免れた歴史

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 [New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「中立国」。

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 ロシアのウクライナ侵略を機に、かつて中立を掲げてきた北欧のフィンランドが4月、北大西洋条約機構(NATO)に加盟した。隣国スウェーデンも続く見通しだ。国際紛争が多発する昨今、中立国のあり方が問われている。

紛争参加せず 同盟にも入らず

 中立国とはいかなる国際紛争にも参加せず、軍事同盟にも入らない国家を指す。主に小国の生き残り策だ。

 NATO加盟にかじを切ったフィンランドやスウェーデンのように外交・軍事的に中立的な立場を取ってきた「中立主義国」と、条約などによって他国に中立国の地位を認められたスイス、オーストリアなどの「永世中立国」に大別できる。

 スイスなどの中立国の権利と義務は、帝国主義諸国が国際平和を維持しようと1907年にオランダで開催した第2回ハーグ国際平和会議で採択された「ハーグ条約」で明文化された。「戦争中の国に領土を提供しない」「交戦国を援助するために戦闘員を募集してはいけない」「紛争地への武器の輸出は公平にする」といった義務を守ることで締約国から領土の保全と独立を保障された。ロシアなど34か国が批准・加盟している。

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 スイスは第1次、第2次世界大戦の際、武装中立を守ることで直接的な戦火を免れた。国際連盟には加盟したが、国際連合には当初加盟せず、2002年に国民投票を経て190番目の加盟国となった。

 同じく永世中立国のオーストリアは1955年5月、米、英、仏、ソ連の4か国との「オーストリア国家条約」によって独立(国家回復)が認められた。条約の規定に従い、同年10月、「永世中立に関する連邦憲法法規」(中立法)を制定して永世中立を宣言した。

 軍が内戦や政治に介入した反省から、大統領が83年に永世非武装中立を宣言したコスタリカや、95年の国連総会決議で永世中立国の地位を承認されたトルクメニスタンなど条約に基づかないケースもある。

 スイスは、1515年にイタリアでの戦争で大敗を喫したのを機に拡張政策をやめて中立的な立場を取った。永世中立国として正式に承認されたのは1815年、ナポレオン戦争終結後のウィーン会議だった。スイスを緩衝地帯としたい周辺大国の思惑と一致した。

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