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【ニューヨーク=寺口亮一、ソウル=豊浦潤一】北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受け、国連安全保障理事会は25日午後(日本時間26日午前)、緊急の公開会合を開く。ロシアのウクライナ侵攻で安保理の機能不全が露呈する中、北朝鮮は安保理が追加の対北制裁で一致することはないと判断し、発射に踏み切った可能性がある。
緊急会合は米英仏などが開催を要請した。追加制裁や声明発表など、具体的な対応を取れるかが焦点だ。
安保理の対北制裁は、2017年11月のICBM「火星15」の発射を受け、翌12月に石油精製品輸入量の9割削減などを柱としたものが最後だ。安保理はその際の決議で、更なるICBM発射には「石油輸出をさらに制限する行動を取る」と明記した。実施されれば北朝鮮に打撃となる。
だが、安保理では今年1月、北朝鮮が弾道ミサイルを相次ぎ発射した際、ロシアや中国の消極姿勢で非難声明すら出せなかった。中露は「検討に時間が必要」などと米欧に取り合わず、むしろ制裁緩和を求めた。
露軍のウクライナ侵攻後、北朝鮮は国連の場で対露接近を図っている。北朝鮮の
ロシアを非難する総会決議案には2度続けて反対し、ロシアが主導した安保理決議案には共同提案国に加わる異例の対応を取った。常任理事国のロシアは、安保理決議に拒否権を持つ。アジアの国連外交筋は北朝鮮の行動について、「安保理で制裁が議論される可能性を見越したロシアへのシグナルではないか」とみる。
北朝鮮は、バイデン米政権がウクライナ情勢への対応にくぎ付けとなり、当面は北朝鮮の核・ミサイル問題に取り組む余裕はないと踏んでいる可能性もある。その間にミサイル性能を向上させ、「来たるべき米朝協議に備えて、核・ミサイルカードの交渉力を高めておく狙い」(