「野球小僧」大谷翔平、勝利へ執念…プライド捨てバント・うなり声響かせ164キロ

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 野球の国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)の準々決勝ラウンド東京プール(読売新聞社など主催)が16日、東京ドームで行われ、日本代表「侍ジャパン」はイタリアを9―3で破り、5大会連続の4強入りを果たした。米国で行われる準決勝(日本時間21日)で、メキシコ―プエルトリコの勝者と対戦する。

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3回1死1塁、大谷がセーフティバントを決める(16日)=木佐貫冬星撮影
3回1死1塁、大谷がセーフティバントを決める(16日)=木佐貫冬星撮影

 その瞬間、東京ドームにどよめきが起きた。12日の豪州戦で右翼席上方の広告を直撃する3ランを放った大谷が三回、一死一塁でセーフティーバントを試みたのだ。「引っ張った打球が正面でゲッツーになるのが最悪のシナリオ。リスクを回避しながら、かつハイリターンが望めるチョイスをした」。冷静さと勝利への執念が詰まったプレーだった。

 内野手3人が一、二塁間に寄る極端なシフトを敷く中、1打席目は好機で中前に抜けようかというライナーを捕られていた。両チーム無得点で迎えた三回。同じシフトに初球から仕掛けた。大きく空いた三塁線へ打球を転がすと、全力疾走で内野安打とし、一挙4得点のビッグイニングにつなげた。

イタリア戦に先発し、力投する大谷(16日夜、東京ドームで)=松本拓也撮影
イタリア戦に先発し、力投する大谷(16日夜、東京ドームで)=松本拓也撮影

 大谷は日米通算10年のレギュラーシーズンで犠打を記録したことがない。世界でも屈指の飛距離を誇る長打力があるからだ。さらに今大会1次ラウンド4試合では打率5割、8打点を記録し、B組MVPに輝いていた。それでも、「日本の勝利よりも優先するプライドはなかった」。絶好調の打棒を犠牲にして、より確実に1点を取りにいった。

 気迫はマウンドからも伝わった。一球一球を投げるたび、球場にうなり声が響く。相手打者を打ち取れば右拳を突き上げ、大きく口を開けてほえた。負ければ終わりの準々決勝は、表情を変えず淡々と投げた9日の中国戦から一変。五回途中2失点にまとめ、最速は164キロをマークした。

 栗山監督はしみじみ言った。「ずっと彼を見てきたけど、『この試合を絶対勝ちにいくんだ』と野球小僧になりきった時、彼の素晴らしさが出る」。頂点まで残り2試合。全開となった二刀流の侍が勝負の米国へ乗り込む。(福井浩介)

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3916892 0 侍ジャパン 2023/03/17 05:05:00 2023/03/17 16:43:23 https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/03/20230317-OYT1I50027-T.jpg?type=thumbnail

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