光り方にも方言?ゲンジボタル、東と西で異なる間隔
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国内でも、その地域には「外来種」
一世一代のプロポーズ。その大切さは人間に限らず、野山で暮らす生き物にとっても同じです。きれいな小川や水路にすむゲンジボタルのオスは、お尻の光でメスにプロポーズします。
その幻想的な光を楽しもうと古くから人の手で、ホタルはあちこちの水辺に放たれてきました。水質の悪化などでホタルの数が減ってからは、水辺の環境の改善を図りつつ、養殖したホタルを放つ復活運動も各地で進められています。
しかしホタルを放つのは、慎重に判断した方がよいかもしれません。実は同じゲンジボタルでも、東日本と西日本で光る間隔が異なります。東日本のホタルは4秒に1回とややゆっくり、西日本のホタルは2秒に1回と少しせわしなく光ります。まるで方言みたいです。
鹿児島大の加藤太一郎助教は、佐賀大、「日本ホタルの会」と一緒に、各地のゲンジボタルの遺伝情報を解析しました。すると東日本と西日本、さらに西日本の中でも本州と九州とではっきりと区別がつくことが分かったのです。出身地と違う場所に持ち込まれたホタルは、日本の在来種であってもその地域にとっての「外来種」となりかねません。
「遺伝子の『地域固有性』を守るうえで、
他地域のサクラマス、放流は悪影響も…
「良かれと思った魚の放流が、かえって悪影響を及ぼしているかもしれません」。水産研究・教育機構水産資源研究所の長谷川功主任研究員はそう話します。
渓流釣りで人気のヤマメは、海へ下るとサクラマスと呼ばれます。北海道では多くがサクラマスとして海に出て、本州ではほとんどがヤマメとして淡水にとどまります。サクラマスを増やそうと、同じ種だからと本州のヤマメを北海道に放っても、サクラマスが増えるとは限りません。むしろ人工的な繁殖が魚の能力を弱めたり、海へ行くタイプが減ったりするなどの悪影響が分かってきました。
市民団体「山の手ヤマベ里親の会」は札幌市西区の川で長年、児童らが
長谷川さんも「指摘を受け止め切り替えたことに敬意を表したい。環境教育のモデルケースになってほしい」と期待し、今後も会の活動を見守るそうです。(山波愛)