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2000円の自己負担で魅力的な返礼品がもらえるとあって年々利用者が増えている「ふるさと納税」。このふるさと納税のルールが2023年10月から改定されるようです。今回は、主な改正内容と利用する側の影響についてお話しします。
10月からの変更内容は?
ふるさと納税は、好きな自治体に寄付することで翌年の住民税や所得税の控除が受けられ、自治体から魅力的な返礼品がもらえる制度です(ふるさと納税の詳しい内容は こちらから )
読者の中にもふるさと納税を利用している人は多いと思いますが、総務省は6月に、ふるさと納税の制度改正を10月に行うと発表しました。
主な改正内容は次のとおりです。
(1)募集適正基準の改正
◇ふるさと納税の寄付を募集するための必要経費「寄付額の5割以下」を厳格化
ふるさと納税では、返礼品の調達費用の割合を寄付額の3割以下、経費の総額を寄付額の5割以下にするルールがあります。ところが、総務省が自治体を調査したところ、経費の範囲として従来含まれていなかったワンストップ特例制度(一定の条件を満たせば、ふるさと納税をした後に確定申告をしなくても寄付金控除が受けられる制度)の事務費用や寄付金受領書の発行費用といった「隠れ経費」があることがわかりました。
これらの費用を経費に加えると、経費の総額が寄付額の5割を超える自治体が出てきました。そこで、制度改正によって、「隠れ経費」も含めた経費の総額が寄付額の5割以下となるよう経費の基準を厳格化します。
(2)地場産品基準の改正
◇返礼品のうち、熟成肉と精米は同じ都道府県内で生産されたものに限る
これまでは、地元で熟成・加工された食品であれば、他の都道府県や海外で生産された肉やお米でも「地場産品」として返礼品に含めることができました。10月からは、熟成肉と精米については、原材料がその都道府県内で生産されたものに限って返礼品に含めることができます。
ふるさと納税の利用者への影響は?
確かに、経費が5割を超えるということは、自治体には寄付額の半分も残らないことになります。せっかくの寄付金が、その半分以下しか自治体の発展のために使われていないのでは、本末転倒です。また、ふるさと納税が「ふるさとを応援する」という趣旨ならば、他の地域から調達したお肉やお米が返礼品なのはおかしいことかもしれません。そういった意味では、今回の改正は意義があると捉えることができます。
とはいえ、ふるさと納税を利用する側からみると、経費のルール改正によって返礼品の量が減ることが考えられます。たとえば、これまで1キロ・グラムのお米がもらえていたのに、今後は500グラムになってしまう可能性がでてきます。返礼品の内容がこれまでと同じでも寄付金額が上がる可能性もあります。
さらに、返礼品によっては取り扱いが終了するものも出てくる可能性があります。熟成肉・精米も、これまで他の都道府県や海外などから調達していたものは終了するとみられます。
改正前の寄付が有利になりそう
現時点では、10月からの自治体の具体的な対応や返礼品の内容変更はまだ明らかになっていません。とはいえ、これまでお話ししてきたように、改正のタイミングで寄付金額が増えたり、返礼品の魅力が減ってしまったりする可能性が高いといえます。
こうしたことを踏まえると、今年のふるさと納税は、10月の改正前までに寄付をしておく方が有利になるケースが増えそうですね。(ファイナンシャルプランナー 高山一恵)