眞鍋かをり「支援は子どもの可能性を引き出すためのお手伝い」

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OTEKOMACHI(大手小町)が、国際NGOプラン・インターナショナル(プラン)や企業などと協力して、途上国の女の子たちを支援する「#サポチョコ」キャンペーンが、今年も始まります。プランの活動趣旨に賛同し、ジンバブエに住む女の子と交流をしながら彼女の住む地域を支援しているタレントの眞鍋かをりさんは、「#サポチョコ」の取り組みにも共感を示しています。1児の母でもある眞鍋さんに、子どもたちへの支援について思いを聞きました。

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――サポチョコという取り組みについて、どう思われましたか?

バレンタインというイベントを楽しみながら、チョコを買う人と、それによって支援を受ける人、みんながウィンウィンになる、分かりやすい取り組みだと思います。今まで「支援」ということを考えたことがなかった人も参加しやすいですね。バレンタインのチョコを買うのであれば、「どうせだったら、支援につながるものを買おう」ということができる。「どうせだったら」というのが大きなキーワードだと思いました。

「どうせチョコを買うなら支援につながるものを買おうという気軽さが#サポチョコのいいところですよね」
「どうせチョコを買うなら支援につながるものを買おうという気軽さが#サポチョコのいいところですよね」

――子どもの教育の充実や生計の向上など、途上国の課題解決を支援するプランの仕組み「プラン・スポンサーシップ」を通じて、ジンバブエの女の子と交流していらっしゃいますね。

スポンサーになるまで、ジンバブエについて印象がなく、どんな暮らしをしているのか想像したこともありませんでした。女の子の成長の様子が、1年に一度届きます。「学校に行くようになりました」とか、「家から何キロのところまで通っていたけど、今は、近くの学校に行っています」とか、ちょっとした生活の変化を教えてもらえます。

2014年、彼女が6歳の頃かな、そこから支援を始めました。最近送られてきた成長の様子を見たら、すごく大きくなったなぁと感慨深かったです。実際に自分が現地へ行って何かをするのは、なかなか難しいですが、成長の記録を見ると、支援が届いているんだ、ということを実感できます。支援している相手が存在していることを実感する瞬間です。

「私、自分のことしか考えてないな」と気付いた30歳

――そもそも、なぜ支援を始めたのでしょうか。

支援を始めた当時は、結婚もしてなかったので、自分のことだけをしていればいいという状況でした。仕事にも慣れて、生活にも余裕が出てきて、好きなこともできるのに、自分のことしか考えてないなって、ふと思ったんです。人のために何かする、とか、誰かのために生きる、ということを何もしないままでいいのかな、と思いました。罰があたる気がしたんですよね。30歳ぐらいの時です。

そんなときに、プランの広告を見ました。私は、それまでボランティアのようなことは全くしたことがありませんでした。大学生の時も、ボランティア活動を積極的にやっている人たちを横目に、まったく興味を持てませんでした。寄付をして、それがその後にどう生かされていくのかは、自分から積極的に調べないと分からないし、まぁいっか、という感じでした。「プラン・スポンサーシップ」は、手紙のやり取りを通じて、途上国の女の子と交流しながら、地域の課題解決を図るというコンセプトが分かりやすく、女の子の成長も見届けることができます。

スポンサーになろうと思った当時、よく海外の一人旅をしていました。やっぱり、女性の権利や地位が低いと感じる国にはあまり行きたくないなと。私は現地に行かないという選択でいいけれど、そこで生活をしている人は逃げようがない。だったら、自分ができる支援をしようと決めました。能動的に動いた、初めての社会支援でした。

――2018年に始まった子どもの虐待防止策を求めるキャンペーン「#こどものいのちはこどものもの」にも携わりましたね。どんな思いでこのキャンペーンに関わったのでしょうか。

2018年は、親の虐待によって子どもの命が奪われる事件が相次ぎました。自分に子どもが生まれてからは特に、虐待のニュースを聞くのがつらかった。なぜ、何度も同じことが繰り返されるのだろうと、友人でエッセイストの犬山紙子さんと話していました。虐待を撲滅しようという世論の高まりもあり、犬山さんを中心に坂本美雨さん(ミュージシャン)、ファンタジスタさくらださん(タレント・実業家)、福田萌さん(タレント)とキャンペーンを立ち上げました。メディアに出ている私たちが目に見えるように動けば、国も動いてくれるかもしれない、と。

母になったことで新たな視点が加わったという眞鍋かをりさん
母になったことで新たな視点が加わったという眞鍋かをりさん

母になったことは大きいですね。私の周りでも、虐待の問題を何とかしたいけれど、自分一人で何もできないという声がほとんどでした。キャンペーンに関わってみて、たくさんの児童に関する専門家の方たちが、日々、一生懸命頑張っているけれど、それぞれ考え方も方向性も違うためにまとまらないし、頑張りが世間に伝わらないというジレンマがあると実感しました。私は児童虐待の専門家ではありませんが、そのように頑張っている方たちを応援することならできます。スキルを持っている人を応援することが私のできることだと思い、キャンペーンに関わりました。

「お金を出すだけ」は立派な支援

――サポチョコの支援の方法と似ているところがありますね。

そうですよね。チョコを買うだけで、支援が届く。実は、プランさんでスポンサーになった当初、実際に活動をしているのはプランの方たちなのに、私はお金を出しているだけで支援している、と思うのはおこがましいことなのかなと思っていたんです。自己満足なのでは、とも思いました。だけど、実際に必要なのは、応援であり、支援なんです。資金面の援助もそこに入ります。支援の気持ちを表す第一歩として、何かを買う、お金を出すのはありなんだと思います。「お金を出してるだけだから、支援してるなんて思っちゃいけない」と思っていたけど、お金を出すことも有効な支援です。

――支援に携わることは、ご自身にとってどういう意味を持つのでしょうか。

喜びでもあるし、自分の成長にもつながっています。私が今から頑張っても、先は知れている気がするんですよね(笑)。40代が頑張ってできることと、子どもがこれから頑張ってできることの可能性って全く違います。子どもたちの可能性を引き出すお手伝いをしたほうが喜びになりますし、同時に、自分もすごく勉強させてもらっている気がしますし、見える世界が広がりました。子どもをこちらが思っているラインに乗せるのではなく、大人は、未来のための「お手伝い」をする立場であるべきだと思います。

ジンバブエの女の子も育つ環境によって、開ける世界はどんどん変化するはずです。私は彼女の選択肢が一つでも増えるように支援をしたいと思っています。毎月5000円ですが、彼女の未来への投資です。

「大人は子どもたちの可能性を引き出す手伝いをする立場、と最近しみじみ思います」
「大人は子どもたちの可能性を引き出す手伝いをする立場、と最近しみじみ思います」

昨年から、ボクシングを始めました。もうすぐ1年になります。ふらっと入ったジムのコーチが、有名な選手をたくさん育てていた方で、「自分ができないことも生徒にはやれって言うよ」と言います。「君たちには可能性があるから、自分ができないことでもやれって言うよ。僕は、それを引き出す手伝いをする」と。結果的に自分より高いところへ行った選手をたくさん育てている方がそうおっしゃっていました。子育ても同じだと思います。我が子を通して、自分が見られなかった世界も見せてもらっている。すごくありがたいな、と思います。

私は、19歳で念願かなって、愛媛から東京に出てきましたので、娘の出生届を書いたときに、「この子は生まれながらに、私がたどり着いたゴールにいる!」となって(笑)。東京は、ニューヨークぐらいの感じに思っていたんですけどね。もちろん、東京で育つ苦労もあるのでしょうが、「東京育ち」ってこういうことなのね、と思うことが多々あります。

――今後やってみたいことはありますか。

自分のことを振り返ると、日本では、支援やボランティアを自然にできるような感覚が育ちにくいなと感じています。娘には、自然体で支援できるような感覚を伝えたいですね。女の子の成長のお知らせは、娘も一緒に見ています。子どもは子どもなりに、世界のこと、社会のことを考えています。コロナ禍やロシアのウクライナへの軍事侵攻などを、ちゃんと考えています。

支援をするときは、自分の生活が安定していないといけません。人のために何かやろうというときに、自分の生活がぐらぐらしていると本末転倒です。日々の暮らしを充実させて、その中でできることがあれば、と支援をするのが一番大切だと思っています。(聞き手・読売新聞メディア局 野倉早奈恵)

プロフィル
眞鍋 かをり (まなべ・かおり)
 1980年、愛媛県出身。横浜国立大学在学中にタレント活動を開始。バラエティーのほか、情報番組のコメンテーターやCM、執筆など幅広く活躍している。

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4019670 0 大手小町 2023/04/20 15:00:00 2023/11/06 11:18:31 https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/04/20230420-OYT8I50084-T.jpg?type=thumbnail

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