金メダル候補「ワタガシ」ペア、「勇大君」「先輩」と呼び合う2人…「変わらない」こと・「大人になった」こと

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 パリ五輪では男女混合種目数が過去最多を更新し、初めて20に達する見通しだ。バドミントン混合ダブルス東京五輪銅メダルの渡辺 勇大(ゆうた) (26)と東野有紗(27)(ともにBIPROGY)は結成13年目を迎えたトップペア。人生のほぼ半分を共に歩んできた2人が読売新聞のインタビューに応じ、五輪制覇への決意と、混合種目の魅力発信に対する思いを語った。(聞き手・運動部 佐野司)

渡辺勇大(右)、東野有紗組(2023年12月18日、熊本県立総合体育館で)=佐伯文人撮影
渡辺勇大(右)、東野有紗組(2023年12月18日、熊本県立総合体育館で)=佐伯文人撮影

――バドミントンの強豪、福島・富岡一中、富岡高の先輩後輩で、初めてペアを組んで13年目。実感は。

  渡辺勇大 「気付けば13年という感じ。でも、この種目は長くやっているから強いというわけではないし、ペアとしてまだまだ成長できるというか、自分たちは伸びしろだらけだと思っている」

  東野有紗 「ずっと一緒にやってきて、『大人になったなあ』と思うところもある。互いをより思いやれるようになっているというか、いい関係性でできているなって」

パリ・オリンピック出場への意気込みを語る、東野有紗(左)と渡辺勇大。東京都葛飾区で。
パリ・オリンピック出場への意気込みを語る、東野有紗(左)と渡辺勇大。東京都葛飾区で。

――大人になったとは。

  渡辺 「たとえば、お互いに自分のマイナスポイントもパートナーに開示できるようになった。以前は、体やプレーの不調などネガティブな情報は細かく伝えないところがあった。『今日は調子が良くない』と認めたくない自分もいたけれど、それでは勝てないので」

  東野 「『あうんの呼吸』でうまくいった時もあった。でも、今は逆に自分のこと、相手を見て気付いたことをきちんと言葉にして伝えている。本当に何げないことでも勇大君と話し合うようになり、コンビネーションがよりよくなっている」

――東野選手が1学年上になるが、互いに尊敬しているところはどこか。

  東野 「広い視野で物事を見ていて、何を相談しても、否定せず、受け入れ、話し合って、寄り添ってくれるところ。年は1歳下なんですけど、ケンカにならないのは本当に勇大君のおかげ。ケンカは今まで一回もしたことがない」

インタビューに応じる、バドミントン混合ダブルス東京五輪銅メダルの渡辺勇大
インタビューに応じる、バドミントン混合ダブルス東京五輪銅メダルの渡辺勇大

  渡辺 「僕は結構、思いついた考えをすぐ口に出したり、行動に移そうとしたりしちゃうんですが、(東野)先輩は『いいね』『やってみようか』とまず言ってくれる。その優しさに感謝だし、本当に尊敬しています」

――「勇大君」「先輩」と呼び合う関係性は当時と何も変わらない。

  東野 「そうですね」

  渡辺 「もう、変わらないんじゃないですか(笑)」

――混合ダブルスという種目の魅力とは。

  渡辺 「面白くて、難しい。男子ダブルスのパワーとスピード、女子ダブルスの長いラリーというそれぞれの種目の特徴が合わさって、緩急のある『駆け引き』がすごく多い。男子のスマッシュを女子が返したり、逆に女子が男子を相手に決めたりすると、一気に試合の流れやリズムも変わる」

パリ五輪への抱負を語るバドミントン混合ダブルスの東野有紗=黒瀬祐生撮影
パリ五輪への抱負を語るバドミントン混合ダブルスの東野有紗=黒瀬祐生撮影

  東野 「そういう駆け引きの中で、女子の自分が力強いジャンピングスマッシュを決めたりもする。混合ダブルスならではの場面だし、ほかのペアにはできないプレースタイルは私たちの強みだと思っています」

――東京五輪銅メダルでこの種目初の表彰台に立ち、注目度は高まっている。

  東野 「東京の後、子供から『混合ダブルスって面白いね』と言ってもらえる機会が増えてすごくうれしい。勝ち続けて、混合の楽しさをもっと広めていけたら」

  渡辺 「バドミントン競技の中で見ても、混合ダブルスの大会が少ない現状がある。いつか小中学生向けの大会を自分で開いてみたいなという夢はあります」

――パリ五輪での目標は。

  渡辺 「杭州アジア大会で銀メダルを取って、東京五輪から1段上がることができたと思った。パリでは金を目指してやっていく」

  東野 「アジア大会は決勝で負けたけれどいい状態で臨めた。五輪選考レースをうまく勝ち抜いて、パリで金を取れるように頑張る」

プロフィル

 渡辺勇大(わたなべ・ゆうた)1997年6月13日生まれ。東京都出身。1メートル67

 東野有紗(ひがしの・ありさ)1996年8月1日生まれ。北海道出身。1メートル60

バドミントン混合ダブルスの東野有紗(左)、渡辺勇大
バドミントン混合ダブルスの東野有紗(左)、渡辺勇大

  <2人の経歴> 福島・富岡一中、富岡高、日本ユニシス(現BIPROGY)で、東野が1学年上のチームメート。2012年春に初めてペアを組み、18年全英オープン優勝。世界選手権は19年から銅、銀、銀、銅で4大会連続の表彰台。21年東京五輪は銅、23年杭州アジア大会は銀に輝いた。愛称は「ワタガシ」

パリ五輪で行われる予定の主な混合種目
パリ五輪で行われる予定の主な混合種目

増え続ける混合種目、東京はリオの「倍」

 男女平等に向け、五輪の混合種目は増え続けている。東京大会では2016年リオデジャネイロ大会の2倍で、過去最多となる18種目を実施。新種目の卓球混合ダブルスで水谷隼、伊藤美誠(スターツ)組が金メダルを、柔道混合団体が銀メダルを獲得するなどした。

 パリ大会では、陸上競歩リレーなどが新たに採用される。男女別から変更となるセーリング混合470級は、8月の世界選手権で岡田 奎樹(けいじゅ) (トヨタ自動車東日本)、吉岡美帆(ベネッセ)組が優勝して五輪出場枠を獲得し、日本勢のさらなる活躍が期待されている。

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