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【北京=読売取材団】北京冬季五輪第10日の13日、スピードスケート女子500メートルで、前回
「頭の中が真っ白に」
前回女王がまさかの17位に沈んだ。「最初の1歩目で左足が引っかかってしまった。立て直せなくて、自分のスケートがどんどん遠くに離れていく感覚だった」。小平は消え入りそうな声を絞り出した。
北京入り後、スタート練習に力を注いでいた。リンクでの練習中も、いったん運動靴に履き替え、陸地でスタートの練習をしてから再びリンクを滑るなど、最善を探っていた。それが実らなかった。最初の100メートルが全体20位の10秒72だった時点で、連覇は遠のいた。「準備もしっかりできたし、あとはスタートで反応していくだけだった。頭の中が真っ白になってしまった」。2019年途中まで国内外で37連勝していた得意種目で、失意に打ちのめされた。
W杯の成績で見れば、15連勝中の大本命として臨んだ平昌大会と違い、今季は昨年11月に1勝を挙げただけ。五輪連覇はかかるものの、「挑戦者の気持ち。守りに入る自分はいない」と現状を表現していた。重圧は少なかったはずだったが、北京のリンクには魔物がすんでいたのか。
前回は銀メダルを獲得した1000メートルが、17日に残っている。「格好悪くても、1000メートルでしっかり歯を食いしばって、自分のやりたい表現を氷の上に乗せていきたい」。目に涙を浮かべた35歳。逆境から立ち上がる姿を見せる時だ。
(帯津智昭)