ロケ地探し「あまちゃん」制作陣、「何もない」久慈へ…案内役はクドカンと知らず「だからダメなんです」

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

[元気だべ!北三陸「あまちゃん」前夜]<上>

 待ち合わせ場所に現れた3人組は、見るからに「よそ者」のいでたちをしていた。

福島・川俣町住民の集団訴訟、東電に11億円の賠償命令…1審判決より賠償額を5億円増額

 2011年10月、岩手県久慈市の巽山公園。市商工観光課の職員だった大下勝盛(52)は、NHK職員や制作会社のスタッフを名乗る目の前の男性らを、まじまじと見つめた。ニット帽や「もんぺ」のようなズボン、奇抜な色合いのファッション。最初は「この人たちに任せて大丈夫だろうか」と不安がよぎった。

久慈市職員として「あまちゃん」の制作スタッフを最初に受け入れた大下さん。現在は市地域包括支援センター所長を務める(14日、久慈市で)
久慈市職員として「あまちゃん」の制作スタッフを最初に受け入れた大下さん。現在は市地域包括支援センター所長を務める(14日、久慈市で)

 東日本大震災から7か月余り。同僚から「NHKが久慈で何かを撮りたいらしい。案内役をやってくれないか」と頼まれたときは、「復興のドキュメンタリー番組かな」と推測した。

 そこで、震災を乗り越え開催にこぎ着けた「久慈秋まつり」の山車組の組頭を紹介すると、3人組は日が暮れるまで熱心に取材した。関心を持ってくれたことがうれしく、「夜の街も案内しますよ」と申し出た。

「あまちゃん」放送から10年を迎え、インタビューに答えるのんさん(9月19日、東京都中央区で)=三浦邦彦撮影
「あまちゃん」放送から10年を迎え、インタビューに答えるのんさん(9月19日、東京都中央区で)=三浦邦彦撮影

 初対面にもかかわらず、宴会は3次会まで続いた。「朝ドラとかになったら面白いですよね」。そんな冗談を飛ばすと、3人組は意味ありげに笑った。

 男性らの正体は、後に連続テレビ小説「あまちゃん」を制作するディレクターやプロデューサー陣だった。朝ドラの舞台を探しに、岩手・宮城両県を縦断する旅をしていた。取材先に真の目的を明かさなかったのは、「ネタバレ」を防ぐためだ。

 その一人で、助監督の渡辺直樹(43)は、久慈に対して特別な思いがあった。05年頃、この地に生息するイヌワシのドキュメンタリーを撮りに訪れたのが、業界に入って初めての仕事だった。第一印象は「なんて寂れた街なんだ」。だが、「北限の海女」や 琥珀こはく といったドラマの題材になり得る観光資源は豊富だと感じた。

1

2

【特集】東日本大震災
スクラップは会員限定です

使い方
「社会」の最新記事一覧
記事に関する報告
4848772 0 社会 2023/12/19 10:03:00 2023/12/19 11:24:35 2023/12/19 11:24:35 https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/12/20231219-OYT1I50050-T.jpg?type=thumbnail

主要ニュース

セレクション

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)