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SNSなどで親しくなり、現金や暗号資産をだまし取る詐欺が佐賀県内で多発している。今年に入って8月末までに24件発生。中でも多いのが、恋愛感情を利用する手口だ。長期間にわたって高額な被害に遭う場合が多く、被害額が1億円を超えたケースもあり、佐賀県警は注意を呼びかけている。(上本虎之介)
県警捜査2課によると、今年の1~8月末に、県内の20~60歳代の男性10人、女性14人の計24人がSNSなどを使った詐欺被害に遭い、計約2億5700万円をだまし取られた。昨年1年間では15人が計約8500万円をだまし取られたことと比較すると、被害が急増していることがわかる。
24件のうち、半数の12件に共通しているのはマッチングアプリを利用している点。異性との出会いを求める相手に深い関係を築く目的で接触し、時間をかけてやりとりを重ねる。外国籍や外国在住を語ることも多く、不自然な言葉遣いになることもある。
手口としては、出会ってから親密な関係になる過程で、「2人の将来のため」「結婚資金をためるため」などと恋愛感情をもとに、投資を持ちかけるケースが目立つ。最初は少額の投資で利益が出たように見せかけ、それ以降に、より多額の金銭を要求するといった巧妙な場合もある。
アプリやSNSはスマートフォンを多用する層の利用が多く、被害は比較的若い世代で起こっている。
佐賀市の40歳代女性は、6月後半にマッチングアプリで知り合った男に、「未来のために投資をしないか」などと誘われ、約2か月の間に計約6000万円をだまし取られた。男の紹介で使っていた投資サイトで金を引き出そうとしたところ、「保証金200万円が必要」との表示が出たという。
また、同じくマッチングアプリで8月上旬に女と知り合った鳥栖市内の40歳代男性は、女に「外国為替取引をすればもうかる」などと言われ、計約1億円を振り込んだ。資金を工面しようと、借金の相談をした知人の指摘で被害に気づいた。
傾向として、被害者は相手のことを心から信頼しているという。長期間のやりとりと第三者の介入が難しいことなどから信用しきってしまい、面識がない相手にも金銭を渡すとみられる。今年発生したものの中には、約8か月やりとりが続いたものもあった。
県警は一連の詐欺を「被害者を幸せの絶頂にして裏切るという卑劣な行為」としており、「会ったことがない相手にもうけ話をされたときは詐欺を疑い、家族や県警に相談してほしい」と呼びかけている。