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街中を巡回し、事件事故が起きればいち早く現場に駆けつけるパトカー。市民を守る警察の“顔”で、乗り物好きの子どもたちからも高い人気を誇る。自動車メーカー各社が製造し、時代とともにモデルチェンジを繰り返してきたが、最近はトヨタの高級セダン「クラウン」の独壇場になりつつある。
一般車と区別?汚れ目立たぬように?
パトカーと言えば、おなじみの白と黒のツートンカラー。いったいなぜなのか。
歴史をひもとくと、戦後まもない1949年11月、連合国軍総司令部(GHQ)が警視庁に自動車によるパトロールを指示したのが始まりだ。トヨタ、日産、いすゞの3社に試作車の製造を依頼し、警視庁が翌年6月からパトロールを開始した。
試作車はトラックの車体に乗用車のボディーを取り付けていた。無線機が非常に重く、トラックの車体を使わないと坂道を上れなかったためだ。さらに、当時は国内を走る車の大半が白色だったため、一般車と見分けられるよう、下部を黒色に塗るようになった。それがツートンの起源と言われている。
ただ、別の説もある。その頃は道路の大半が舗装されておらず、車が走れば車体の下部に泥や土がとびはねた。その汚れが目立たぬよう、黒色に塗ったというのだ。国土交通省によると、52年の道路舗装率(簡易舗装を除く)は一般国道でも8.8%。あり得る話かもしれない。
クラウン主流スポーツカー・SUVも
パトカーは、セダン型の「無線警ら車」「交通取締用四輪車」と、交番や駐在所用の「小型警ら車」の3種類。国費で購入された計約9000台(覆面パトカーを除く)が全国で使用されている。中でも、パトカーの代名詞と言えるのがトヨタのクラウンだ。70年に販売された「タカラトミー」の初代ミニカー6車種の中にも、クラウンのパトカーがある。
自動車メーカー各社は既存の車をベースにパトカーを製造してきたが、2018年度以降、採算性の厳しさなどから、セダン型の入札に参加しているのはトヨタだけだ。車種はクラウンだけなので、近い将来、街中のパトカーは軒並みクラウンになるかもしれない。
数は少ないが、都道府県警が独自に導入するパトカーもある。警視庁は16年、高速道路での速度違反の摘発や警察の広報啓発に活用するため日産のスポーツカー「フェアレディZ」を導入し、現在4台が稼働中だ。豪雪地帯や山間部を抱える警察本部では、スポーツ用多目的車(SUV)も採用されている。