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今後のあり方を模索しているJR城端・氷見線を巡り、あいの風とやま鉄道の日吉敏幸社長は6日に県庁で開かれた検討会に出席し、JR西日本からあいの風への運行移管に前向きな姿勢を見せ、その条件として両線の赤字
検討会の冒頭では沿線市の全4市長から「あいの風が事業主体になれば、より地域に密着した運営ができる」(角田悠紀・高岡市長)などの声が上がった。JR西の漆原健・金沢支社長も「地域の皆さんが最適というのであれば異論はない」と賛同した。
こうした声を受けて検討会に初出席した日吉社長は、運行が移管された場合、初乗り運賃を2回払う必要がなくなり、ダイヤも調整しやすくなると指摘。「現在の路線と一体的に運営すれば、県西部における交通ネットワークが強化され、鉄道運営も効率化される」と発言した。
その後、運行移管のための5条件を提示し、出席者らは各自治体の議会などで議論を深めた上で、次回の検討会で詳細を決めていくことに合意した。
あいの風は県内全市町村からの出資金で経営されており、沿線市以外の11市町村からは「新たな費用負担が発生するのでは」といった懸念も出ている。夏野修・砺波市長は「現在の路線との区分経理が大事。(新たな負担は)国の枠組みやJRでやっていくのがよい」と述べ、城端・氷見線の沿線市以外への追加負担に否定的な考えを示した。
JR西の漆原支社長は「(移管が決まっても)私たちは手を離して終わりではない。安全運行の継続が大事だ」と述べた。
県は持続可能な地域交通のあり方を定める戦略を策定中で、8月には地域交通を「公共サービス」、自治体による支援を「投資」と位置づける基本姿勢を決めていた。日吉社長は「今議論している県の考え方を踏まえて、当社として城端・氷見線をどうしていくべきかを考えた」と明かした。
次回は10月初旬を予定。新型車両の導入などの利便性向上策を議論する。国の交付金を受けるための「鉄道事業再構築実施計画」は12月頃までにとりまとめる。
■あいの風とやま鉄道が示した5条件
〈1〉現路線の経営に支障が出ないよう、両線の赤字補てんを保証する
〈2〉運転士や技術系要員の確保のため、JR西日本の社員が一定期間、出向する
〈3〉経営移管前にレールなどの本格的な再整備を行う
〈4〉指令や駅運転の施設整備を行う場合は、必要な財源を確保する
〈5〉両線の直通運転を行う場合は高度な知識・技能が必要で、JR西日本の全面的な支援が不可欠