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年間登校10日 中学生を支援
不登校の児童・生徒が増加する中、県教育委員会は不登校の中学生がオンライン学習を中心に学ぶ県ネットワーク型フレキシスクール「不登校支援ならネット」を運営している。登校日数が年間10日程度の生徒を対象にしており、全国的にも珍しいという。県教委の担当者は「将来を不安に思う生徒の学びにつなげていきたい」と話す。(倉岡明菜)
「将来展望 開けるように」
夏休みに入る前の平日の午前10時15分、パソコンのモニター越しに朝の会が始まったが、出欠を取ることはない。生徒はオンラインにした上で、カメラやマイクをオフにして参加することもできる。
不登校生への支援では、各市町村の教育委員会が設置し、学校復帰を支援する「適応指導教室」などがある。ならネットは同教室にも参加が難しい生徒が対象。6月1日の運営開始から、十数人がオンライン学習をスタートさせた。
水曜以外の平日は午前10時半から30分間、5教科のオンライン授業が行われる。ライブ配信で数学は「おもしろ計算術」など生徒の興味を引くよう工夫され、生徒が自由に選択して受講する。午後には小集団での活動時間がオンラインで設けられ、脳トレーニングなどのゲームや雑談をして過ごす。夏休み中は勉強や生活などの相談日を設ける。
校長の役割を担うスクールマネジャーを務めるのは、元小学校長の中村衛さん(67)。授業は県内の中学教諭や県立教育研究所(田原本町)の職員が行い、担任も務める。生徒とどのように関わっていくか、日々協議を重ねている。
自身も若い頃は不登校の生徒の対応に悩んだこともある中村さんは「子どもたちには将来、学校に復帰してもらいたいという思いは当然あるが、不登校の生徒が将来の展望を開けるよう、一歩踏み出すための支援をしたい」と力を込める。ならネットでは9月4日から、2学期が始まる。
不登校に配慮 特例校設置進む
文部科学省は、不登校支援のため、不登校生に配慮した特例校を全国で300校、各都道府県・政令市で1校以上設置することを目指している。ただ、特例校は通常の授業時数の4分の3程度が必要で、年間の登校日数が10日程度しかない生徒にとってはハードルがある。
そのため、県教委ではならネットを約2年間試行し、今後の運営のあり方を検討する。県教委によると、出席日数が年間10日以下の中学生は、2015年度の136人から21年度は243人に増加している。