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第105回全国高校野球選手権記念奈良大会(県高校野球連盟など主催)は26日、橿原市の佐藤薬品スタジアムで準決勝2試合があり、高田商と智弁学園がいずれも2年ぶりに決勝へ進んだ。高田商は九回に打者一巡の攻撃で4点を挙げ、昨夏優勝校の天理に逆転勝ち。智弁学園は12安打の猛攻で橿原学院に七回コールド勝ちを収めた。決勝は28日午前10時から同スタジアムで行われる。
高田商 9回逆転劇
高田商10―7天理
高田商が劇的な逆転勝ちを収めた。主導権を握るも六回に勝ち越され、1点を追う九回、北嶋の適時打で同点。さらに代打・宮武晃の2点適時打などで4得点と勝負強さを見せた。
天理は六回に1点をリードしたが、七回以降の好機を生かせず競り負けた。
智弁学園 12安打快勝
智弁学園9―2橿原学院
智弁学園が七回コールド勝ちした。一回、中山の先頭打者本塁打などで3点を先取。四回は高良のソロ、山崎、池下の連続適時打で4点を加えて突き放した。
橿原学院は4点を追う二回に窪田の適時打で2点を返したが、三回以降は本塁が遠かった。
地道な努力 後輩の手本
橿原学院・広田選手
橿原学院の広田晴選手(3年)=写真=は二回、先頭打者として中前打で出塁し、チームを勢いづけた。その後、窪田悠人選手(2年)の適時打で生還。ベンチや応援スタンドを沸かせた。
広田選手は、好調な打撃を期待され、24日の準々決勝当日にスタメン入り。公式戦初出場だった。冬場に8キロ増量して体力をつけ、打撃を磨いてきた。
「緊張したが、自分のやれることをやろう」と集中し、準々決勝では2点適時二塁打を放ち、先制点を挙げてみせた。谷車竜矢監督は「ベンチに入れない時期が長かったが、腐らず、地道に努力してきた。後輩の良いお手本」とたたえる。
今大会では、窪田選手や沢辺孝良投手ら2年生の活躍も光った。広田選手は「やれることをやり切れて後悔はない。後輩には諦めず、もっと上を目指してほしい」。夢の続きを託し、最後の夏を終えた。
<白球賛歌>
悔しさ糧に新たな道
天理
赤 埴
克樹捕手(3年)
試合終了後、グラウンドで崩れ落ちて泣いた。「自分たちの代でも甲子園を目標にしてきた。出られないと思うと、涙が止まらなかった」
大会前、腰を痛めて思うような練習が出来なかった時期もあった。だが、開幕後はそうした困難を感じさせず、これまでの3試合で、本塁打2本を含む13打数9安打(6割9分2厘)と打撃でチームをリード。捕手としても投手3人を支えてきた。さらに、準々決勝で本塁打を放つなどした弟・幸輝遊撃手(1年)の活躍にも刺激を受けた。
準決勝での活躍が期待される中、この日も、先輩に誘われて2年の春から始めた寮周辺の早朝ゴミ拾いをしてから球場へ。大切にしている言葉「平常心」を胸に刻んで試合に臨んだが、連続で外野フライに倒れて得点に貢献できず、九回には逆転を許してしまった。
甲子園出場の目標は後輩に託し、今後は大学に進学して新たな目標に挑む。「プロ野球選手をめざすために、大学で技術や実力をもっと高めたい」。悔しい経験は確かな成長の糧になるはずだ。(山田珠琳)