ルーツ 今後も大切に あべ静江さん50周年 あす松阪で公演

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母に「覚悟」教えられ

あべ静江さん(4月、読売新聞東京本社で)
あべ静江さん(4月、読売新聞東京本社で)

 松阪市出身の歌手、あべ静江さん(71)が20日、デビュー50周年を記念した「松阪☆大好きコンサート」を同市の農業屋コミュニティ文化センターで開く。開催を前にあべさんがインタビューに応じ、幼少期から歌に親しんできた思い出などを語った。(聞き手・三木修司)

 ―― 50周年おめでとうございます。歌い続けて半世紀には重みがあります。

 「実は、小学校に上がる前から、少女歌手をやっていましたから、それを入れるともっと長い(笑)。両親が東海ラジオ(当時はラジオ三重)のバンドマンと専属歌手だった縁で、色々なところで歌っていた。ある時、少年院を慰問しました。同じ服装のお兄さんが姿勢を整えて座っていたのが印象的でした」

 「演奏中、曲の間奏の長さが打ち合わせと違っていた。ピアノを弾いていた父の背中を『違うよ!』ってたたきました。これが母の目に甘えた行為と映る。舞台から降りる時、手をつなぎにいくと振り払われ、楽屋に戻るとバシーンと頬をたたかれた。『ここにはお父さんやお母さんに会いたくても、すぐには会えない人が集まっている。その甘えた態度は何だ』とひどく叱られた。幼い私には怒られる理由が分かりません。でも、光景は今も絵に描けるぐらい覚えている。人前で歌い続ける『覚悟』を教えられた思いですね」

 ―― 昭和歌謡は曲に詞の情景が重なります。

 「デビュー曲『コーヒーショップで』の詞に『城跡の石段に腰おろし 本を読み涙する人もいた』という一節がある。私も松阪公園(松坂城跡)で全くその通りのことをやった。深い読書ではないけれど、そんな自分に酔う青春時代のポーズ。懐かしかったなあ……。作詞した阿久悠先生は、私の古里まで調べて詞を書いてくださったと感激しました。後日、先生にその話をすると、キョトンとした先生は、松阪に城跡があることすらご存じなかった。想像力が豊かというか、感情が深いというか。詞が人の心をつかむという、プロのすごさを改めて知らされました」

 ―― 歴史ある「伊勢新聞社」はあべさんの母方のご先祖が創業者です。

 「芸能界にいるとマスコミとの攻防も色々とありました。油断できないし、気を抜けない。でも、新聞社をつくったルーツを持つ人はそうはいない。ラッキーともいえるし、ちょっと自慢でもある。『手書きの回覧板』から始まったらしいですね。ルーツは今後も大切にしたいと思います」

     ◎

あべさんと故郷が同じ第57代横綱三重ノ海の石山五郎さんが、デビュー50周年を祝って贈った色紙
あべさんと故郷が同じ第57代横綱三重ノ海の石山五郎さんが、デビュー50周年を祝って贈った色紙

 コンサートは午後1時半開場、同2時開演。当日券も発売する。500円。問い合わせは0598・21・1578。

 ◆ あべ・しずえ  1951年、松阪市生まれ。短大在学中に東海ラジオの人気DJとなり、73年に「コーヒーショップで」でデビューし、レコード大賞新人賞。同年の「みずいろの手紙」も大ヒット。「みえの国観光大使」「松阪市ブランド大使」を務める。

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