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寄生虫「アニサキス」1億ワットで感電死…熊本大学、4年費やしアジで技術確立

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パルスパワーを発生させる装置の前で説明する浪平准教授(7日、熊本大で)
パルスパワーを発生させる装置の前で説明する浪平准教授(7日、熊本大で)

 魚介類に寄生して食中毒をもたらす「アニサキス」を死滅させるため、熊本大が電気エネルギーを使った殺虫方法の研究を進めている。アジでは刺し身の品質を損なわずに感電死させる技術を確立した。併せて対象魚種の拡大や、別の寄生虫への応用も目指しており、関係者は「生魚や生肉を安全においしく食べられるようにしたい」と話している。(篠原太)

 長さ2~3センチ、幅0・5~1ミリ。白い糸のように見える物体がくねくねと動く。アジやサバなどに寄生するアニサキスの幼虫だ。国は死滅させる方法についてマイナス20度で24時間以上冷凍するか、60度で1分加熱することを推奨している。ほかに目視で除去する方法がある。

アニサキス=国立感染症研究所のホームページから
アニサキス=国立感染症研究所のホームページから

 刺し身は冷凍すると食感が悪くなり、色あせも早い。除去では取り逃がす可能性がある。冷凍せず消費者に安全な生魚をどう届けるか。水産業界は紫外線やX線、超音波、高圧力などを試したが有効な手段は見つからなかった。

 注目されたのが瞬間的に発生させた巨大電力「パルスパワー」の活用だ。コンデンサーに蓄積した電気エネルギーを一気に取り出す。この技術を研究してきた熊本大産業ナノマテリアル研究所の浪平隆男准教授(電気工学)が、福岡市の水産加工会社からの依頼で、2021年に技術を確立させた。4年を費やしたという。

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