完了しました
島根県益田市は、第3セクターが運営する「大井競馬益田場外発売所」(高津)を、2024年3月に廃止することを決めた。インターネットによる馬券販売の普及に加え、コロナ禍による利用者減で、売り上げが大幅に落ち込み、赤字が膨らんだことを理由としている。(荒木伸幸)
場外発売所は、2002年に廃止された益田競馬場の特別観覧席棟(鉄筋5階建て)の3階部分を利用。特別区競馬組合(東京都)の委託を受けた第3セクター「益田市総合サービス」が03年から、全国10か所の地方競馬場で行われているレースの馬券を販売している。
03年度の売上高は約9億4000万円に上ったが、ネットで馬券が購入できるようになったことなどから年々減少。さらに、コロナ禍で20年2月から約4か月間、発売所が閉鎖されたことで、ネットでの購入者が増加した。再開後も入場者数は回復せず、22年度の売上高はピークだった03年度の3分の1に近い約3億4000万円に激減した。
赤字額も20年度が約324万円、21年度は約753万円に上り、23年度(8月末現在)は約419万円を計上。市総合サービスは指定管理者として市立図書館や市斎場、市リサイクルプラザの運営もしており、「競馬事業の赤字が会社全体の経営に影響している」と判断、市に発売所業務の撤退を申し出ていた。
市は「売り上げの改善は見込めない」として廃止を決定。馬券の販売業務は1月26日で終了し、払戻期間として60日間を設けて3月26日で発売所を廃止する。
益田競馬場跡地には、県立西部高等技術校や市立高津学校給食センター、住宅などが建設されている。特別観覧席棟について、市は「解体には億単位の費用がかかるとみられる。今後、解体か活用かを検討する」としている。