「党内で対立している場合ではない」 自民が各地で会派一本化、躍進の維新に対抗

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 4月の統一地方選で、日本維新の会(地域政党・大阪維新の会を含む)が躍進した近畿の3府県議会で、自民党が分裂していた会派を一本化した。近く招集される議会での攻防や衆院選を見据え、維新との対決姿勢を鮮明にするなどの狙いがある。

 奈良県知事選では、維新新人の山下真氏(54)が初当選した。大阪以外で党公認の首長が誕生したのは初めて。県議選(定数43)でも前回選から3倍以上となる14議席を獲得した。

 自民は前回選から4減の17議席。県議会では2008年以降、議長選への対応や意見の違いで、会派は複数に分かれていた。今回の知事選でも、県連推薦の新人と前知事との間で県議の支援が割れる「保守分裂」を招いている。

 県議会で分裂が続けば、維新が最大会派となり、議会運営を主導する可能性があったため、自民は無所属5人と「自由民主党・無所属の会」(22人)を結成。なんとか過半数を確保した。

 山下知事は「県政を変えるのが私の責務」として、行財政改革を進める構え。早速、前知事が編成した今年度予算のうち、五條市への大規模広域防災拠点の設置や県中央卸売市場の再整備など21項目(約80億円)の執行停止を命じており、議会との調整が必要になる。

 自民県連幹部は「自民が過半数を握ったことで、山下知事と是々非々で臨むことができ、維新にも対抗できる」とアピールする。

 維新は兵庫県議選(定数86)でも、前回選から2倍以上となる21議席に伸長。24議席の自民は前回選から3減となった。

 県議会の自民会派は、21年知事選に元副知事の擁立を決めたが、当時所属した44人のうち11人がこうした方針に反発して離脱。自民系会派を新設し、維新とともに斎藤元彦氏(現知事)の支援に回ったことで、対立してきた経緯がある。

 今回は自民の2会派が合流し、無所属新人らを加えて「自由民主党・兵庫議員団」(37人)を発足させた。自民県連幹部は「衆院選や県議会で維新と 対峙たいじ するには、党内で対立している場合ではない」と強調した。

 大阪府では、自民府連が知事・大阪市長の大阪ダブル選に独自候補を擁立できず、府議選(定数79)と大阪市議選(同81)で維新に過半数を許した。

 府議会の自民会派は昨年、カジノを中核とした統合型リゾート(IR)誘致を巡り、当時所属した16人のうち3人が反対し、分裂した。

 今回の府議選の当選者はIR誘致に反対した1人を含む7人。議案提出に必要な定数の12分の1以上(7人以上)を確保するためには、合流が不可欠だった。

 自民府連は21年衆院選で、候補を立てた府内15選挙区で維新に全敗しており、党本部が府連の立て直しに乗り出す異例の事態となった。茂木幹事長は「大阪は抜本的な改革が必要だ」と指摘している。

 一方、首長・地方議員を600人以上に増やすという統一選の目標を達成した維新幹部は「勢力の拡大に浮かれず、公約を果たしていく」と気を引き締める。

会派  議会で活動をともにする議員の集まりで、各議会が定める規則などに基づいて、結成や解散を議長に届け出る。所属人数に応じて、質問時間や委員会のポストが割り当てられるため、同一政党の議員で結成することが一般的だが、政策や理念が近い政党同士や、無所属議員を含めて結成することもある。

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