ひきこもり経験 夫婦の姿 映画に 

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23日 広島国際映画祭

夫婦で支え合いながら暮らす様子も映し出される(「ひきこもりという履歴」の一場面)
夫婦で支え合いながら暮らす様子も映し出される(「ひきこもりという履歴」の一場面)

広テレ元アナ・糸永さん初監督作 「当事者の声 聞いて」

糸永直美さん
糸永直美さん

 広島市に住む、ひきこもりの経験がある夫婦を主人公にしたドキュメンタリー映画「ひきこもりという履歴」(27分)が、23日に開幕する広島国際映画祭で上映される。広島テレビの元アナウンサーで、現在は福山支社長代理の糸永直美さん(52)が初めて監督を務めた。「当事者の声を聞いてほしい」と話している。(前田利親)

 夫のタツオさん(60)は約20年、妻のタエさん(49)は計約17年のひきこもり経験がある。就労支援施設で出会い、2015年に結婚。現在は2人とも会社などで働く。映画では広島市内にあるかつての職場や夜間中学校など、2人が思い出の場所を訪ねる姿を追う。

 苦悩した日々を振り返る様子や、未来への思いを語る場面が映し出される。「まさか会社に行けなくなるとは思ってもみなかった」「ひきこもりを言い換えると『立ち止まり』。エネルギーを蓄えた期間で、意味があったと思いたい」など経験者ならではの声を伝える。街の風景や、夫婦の日常を追う美しいカメラワークも印象的だ。

 糸永さんが報道部門にいた約2年前、タエさんと知り合った。「経験した人の声を聞きたい」と、異動で部署が変わった後に、休日を利用して取材を始めた。「友達の家に遊びに行く感じ」でカメラマンと共に訪ね、1年以上かけて完成させた。夫婦は「信頼関係があったから、カメラを意識せずに話すことができた」と言う。

 映画についてタツオさんは「過去の自分と向き合うことができた」と言い、タエさんは「悩んで、苦しんで現在地にいる。ひきこもり経験者の一例として見てほしい」と望む。

 内閣府が3月に発表した調査では、15~64歳でひきこもり状態の人は推計146万人にのぼる。「ナオミ・アイランド」名で監督を務めた糸永さんは「誠実に物事に向き合った結果、心が苦しくなってひきこもる人もいる。誰にも起こりうることとして、その存在を知ってほしい」と話している。

 23日午後2時45分、広島市西区の横川シネマで上映する。糸永さんと夫婦、カメラマンによるトークもある。各会場共通の映画祭1日券で前売り2000円、当日2500円。中学生以下無料。

 問い合わせは映画祭実行委員会事務局(082・228・5226、平日午前10時~午後6時)。

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