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研究者・奥田さん出版
収集80点収録 新出資料基に論考、解説
江戸時代後期に活躍した尾道の女性画家・平田
玉蘊は尾道の木綿問屋に生まれた。絵や能をたしなんだ父親の手ほどきを受け、幼少期から描き始めた。20歳の時に職業画家として独立。儒学者・頼山陽と知り合い恋仲になったといわれ、尾道に居を構えながら何度も京に赴き、四条派など一流の画家と交流しつつ腕を磨いた。
玉蘊は、伊藤若冲をほうふつとさせる「朝顔に鶏図」を始め、花鳥、山水、人物など多彩なジャンルを繊細に描き分けた。江戸後期の絵画評論集「画乗要略」は、清原雪信らと並んで玉蘊を江戸時代の代表的な女性画家5人に挙げている。
今回の画集には玉蘊を中心に師匠の八田
書き付けは玉蘊の来歴に触れた大正14年(1925年)の文書。家業は酒造業だったとし、代表作の一つ福善寺(尾道市長江)の本堂
同図書館や県立文書館が持つ18世紀末~19世紀初頭の尾道の酒造にまつわる複数の文書には、玉蘊の生家「福岡屋」の名が見えた。生家は木綿問屋だけでなく酒造も手がけ、裕福な商家だったようだ。
また、吉井藤三郎は福善寺の
奥田さんは、現存する玉蘊の天保期の作品が極端に少ないことに注目。天保期は全国的に
その上で、「当時は女性画家として生計を立てるには困難の多い時代だったが、尾道の豪商たちは実力さえあれば認めた。固定観念のない自由な町だった」と考察した。
画集はオールカラー、147ページ。1500円(税込み)。尾道市などの書店「啓文社」で販売している。