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スランプは、自分に向き合い、ありのままに生きるという気持ちで克服した。コンサートや講演会で自分の経験を語り、テレビ番組などにも積極的に出演。「おしゃべり」という明るいキャラクターが、広く知られるようになった。自分を作り直し、生まれ変わったつもりで精力的に活動した。
そんな折、再び病が襲った。2014年12月、くも膜下出血を起こし東京の自宅で倒れているところをマネジャーに発見され、救急搬送された。もう少し遅ければ命に関わっていたほどで、3回の開頭手術を受けた。懸命なリハビリの結果、15年9月には復帰。昨年の1月にも骨が折れやすい「先天性骨形成不全症」の影響で足の
40歳を過ぎて、歌との向き合い方にも変化があった。「以前は聴いている人のために歌う」と考えていたが、「まず、自分の心を歌で満たすことが大事。自分の心からあふれた歌が、お客さんにも届くんじゃないか」と感じるようになった。
自分を一躍有名にし、その後の苦悩のきっかけにもなったアニメ映画「もののけ姫」。その主題歌は、今でもコンサートでは必ず披露する。里に生きる少年と、山に生きる少女との関わりを描いたストーリーに自分の生い立ちを重ねてきた。
「過去の自分を受け入れながら、今を生きろということだと解釈するようになりました」
自分が歌い、前を向いて生きていく姿を見せることで誰かを勇気づけられれば、この上ない喜びとなる。
「だから苦しいことがあっても、ステージに立ち続けようと思う」。人なつっこい笑顔でそう言った。