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精巧な「幕末版」基に学生制作
建築を学ぶ関西学院大学(兵庫県)の学生らが、宇和島城の天守の模型を現代の技術で制作するプロジェクトを始めた。宇和島市立伊達博物館の開館50周年を記念して10月に始まる特別展で展示する。城には幕末の大改修でひな型に使われた縮尺10分の1の精巧な木組み模型があり、「令和の模型」作りに取り組む学生らは「江戸時代の木造建築を学び、できる限り精密に作りたい」と張り切っている。(斎藤剛)
伊達博物館で今秋展示
宇和島城は3階建て。江戸時代以前に造られた現存12天守の一つで、1666年頃に築かれた。1階には、幕末の1860年(万延元年)の大規模修理の際に作られた模型(高さ1・5メートル)を展示しており、柱の太さまで忠実に10分の1のサイズで作られている。
学生たちの模型作りは、宇和島城をテーマにした特別展の企画の一環。宇和島市出身で、博物館の運営について助言する協議会会長の茶道家木村
建築学部の八木康夫教授と学生8人は8日、宇和島城を訪れ、巻き尺で模型の寸法を測ったり、天守の木組み構造を調べたりした。
八木教授は「模型の精度が素晴らしい。あと半年しかないが、図面も参考にし、デジタルの要素も入れて令和の時代の模型を作りたい」と話した。
大学院生の男性(23)は「模型には迫力がある。天守に使われている部材や木組みなどを学びたい」とし、学部4年の女子学生(21)は「学生たちが作った模型を展示することで市民の皆さんの新たな発見につながったらうれしい」と話した。
1974年に開館した伊達博物館の50周年記念特別展は10月12日~12月2日に開催予定。同館の藤堂浩明係長は「大学生の視点で宇和島の魅力を再発見できるようにし、作った模型は触れるようにしたい」と期待していた。