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東京23区の中でも、「治安が悪そう」などとネガティブなイメージで語られることが少なくない足立区。だが、住民の間では「住みやすい街」との評価が高まりつつあるという。世間の評判をも変えることができるのか。東京23区の情報収集、分析を専門とする東京23区研究所所長の池田利道氏が解説する。
足立区は本当に「ヤバい」?
「おいらにとって最低の街」……(テレビ東京「出没!アド街ック天国」2017年9月30日放送「足立区五反野」より)
足立区出身のビートたけし(北野武)さんの自虐ネタを知る人は多いだろう。1997~2002年に「足立区のたけし、世界の北野」(フジテレビ)というバラエティー番組が放送されたほどなので、たけしさんのネタは愛着の裏返しなのかもしれない。
しかし、世間の受け止め方は異なるようだ。「出身地はどこ」と聞かれて「足立区」と答えると、「えっ! 女の子が夜、ひとりで歩けない街なんでしょ?」などと返され、めげてしまう人もいると聞く。
ヤンキーがたむろし、犯罪が多発する街……。
校内暴力の横行、日本一汚れた綾瀬川……テレビ番組などの影響で、1980年前後から足立区をネガティブにとらえる風潮が広がった。まるで足立区を標的にすることで、他の地域に住む人々が
ネガティブイメージは本当か?
実際、10年前まで、足立区は東京23区の中で、刑法犯認知件数(犯罪発生数)でワーストの座を占め続けた。その後、一時改善したが、17年には世田谷区などを僅差で上回り、再びワーストとなった。同じ年の調査で所得水準(納税義務者1人あたりの課税対象所得額)は23区で最下位。高卒者の大学進学率(高校所在地ベースの集計)は荒川区に次ぐ「ブービー」(下から2番目)に甘んじている。