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自民党の参院選山形選挙区(改選定数1)への対応が混迷している。政策面で連携する国民民主党に配慮して国民現職への対抗馬擁立を見送る案が浮上したが、ここに来て一転して主戦論が強まっているためだ。公示を約1か月後に控え、異例の事態が続いている。
自民の高市政調会長は18日の記者会見で、「短期でもしっかりと政策を訴え、候補者には必勝を期してもらうことが肝要だ」と述べ、仮にこれから立候補予定者が決まっても十分に戦えるとの考えをにじませた。
党関係者によると、自民が今月中旬に独自で行った情勢調査では、山形で自民は候補未定ながら、国民現職で3選を目指す舟山康江筆頭副代表とほぼ互角に戦えるとの結果が出たという。擁立見送り案が浮上した背景には、知名度の高い舟山氏に勝てる候補が見つからないという事情もあっただけに、調査結果を受けて主戦論が急浮上した。一部の自民幹部間では、今週に入ってから擁立に向けた協議が始まったという。
見送り案は元々、国民が野党でありながら今年度予算に賛成したことに端を発する。自民の山形県連会長でもある遠藤利明選挙対策委員長は「賛成してくれた事実は重い」と、擁立見送りを示唆し、自民内で調整が進められてきた。
しかし、参院自民や山形県連などが反発。今月中旬に舟山氏を推薦するというさらに踏み込んだ案が浮上すると、世耕弘成参院幹事長が「(舟山氏は)野党であると明言している。そういう人に推薦をつけることができるのか」と公言するなど、批判が強まった。国民側にも「推薦はあり得ない」(榛葉幹事長)と困惑が広がった。
自民側のメリットが不明確だったのも、擁立見送り案への支持が広がらない理由の一つだ。関係者によると、自民は国民に1人区で候補者を積極擁立させて野党を分断することを狙い、国民側に働きかけたが、調整は進まなかったという。 公示が近づくにつれ、自民内では「臨戦態勢にそろそろ入ってくるので、何らかの説明が必要だ」(福田総務会長)との声が出始めている。党執行部は対応が決まらない状況を長引かせるのは得策ではないとして、月内にも一定の方向を出したい考えだ。