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    第18回統一地方選挙のニュースです。

    「筆談ホステス」区議トップ当選…身ぶりで訴え

    • 東京都北区議選で当選確実となり、記者の質問に筆談で応じる斉藤里恵さん(27日)=杉本昌大撮影
      東京都北区議選で当選確実となり、記者の質問に筆談で応じる斉藤里恵さん(27日)=杉本昌大撮影
    • 兵庫県明石市議に当選した喜びを手話で表現する家根谷敦子さん(26日)
      兵庫県明石市議に当選した喜びを手話で表現する家根谷敦子さん(26日)

     26日投票の統一地方選後半戦は、27日朝から東京都内の6区で開票が行われた。

     今回の選挙では、聴覚障害を抱えながら、「筆談ホステス」として知られた斉藤里恵さん(31)が都北区議選で、家根谷やねたに敦子さん(55)が兵庫県明石市議選でそれぞれ初当選。全日本ろうあ連盟によると、国会議員も含めて聴覚障害者の議員当選は過去1人しかいなかったが、一気に2人誕生した。

     トップ当選が確実となった27日午前2時過ぎ、斉藤さんは支援者らに笑顔を見せ、「ありがとう」と手話で伝えた。取材には筆談用の電子ボードで応じ、「まだ信じられません」と心境をつづった。

     1歳の時、髄膜炎の後遺症で聴力を失った。うまくしゃべることはできないが、23歳の時に東京・銀座の高級クラブで働き始め、筆談による接客が人気になった。今はホステスを辞め、筆談での講演活動の傍ら、シングルマザーとして4歳の娘を育てる。

     出馬を決めたのは昨年冬。東京五輪・パラリンピックの開催決定に、「障害者が活躍できる世の中にしたい」との思いを強くした。

     選挙戦では、街頭で名刺を配ったり、身ぶり手ぶりで思いを伝えたりすることに徹した。

     ハンデを背負い、議員活動ができるのか不安視する声もある。斉藤さんは、議会ではパソコンの音声読み上げソフトを活用し、政策発信にはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用すれば、対応できると考えている。

     「少数派の声を代弁し、バリアフリー社会を実現したい」。斉藤さんは意気込みを、そう記した。

              ◇

     明石市議選で当選した家根谷さんは26日夜、支援者らに「障害者の思いを施策に反映させたい」と手話で決意表明した。

     生まれつき両耳が聞こえず、声も出せない。20年前の阪神大震災で被災し、避難所で救援物資などの情報が十分得られなかった経験から、手話講師として通訳者の育成に力を入れてきた。

     街頭演説では、家根谷さんが手話で「大災害に備え、福祉避難所の充実を求めたい」などと訴え、家族らが声に出してアピールした。市議会事務局は手話通訳者の準備を検討するという。

     全日本ろうあ連盟によると、聴覚障害者の議員第1号は、01年の長野県白馬村議選で当選し、1期務めた桜井清枝すみえさんだという。

              ◇

     投票翌日の開票となった都内6区のうち、江東、大田、江戸川の3区長選では、いずれも自民、公明の推薦を受けた現職が、大差で新人候補を退けた。

    2015年04月27日 14時32分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

    2015年統一地方選の日程

    前半

    3/26(木) 知事選告示
    3/29(日) 政令市長選告示
    4/3(金) 道府県議、政令市議選告示
    4/12(日) 知事・道府県議、政令市長・政令市議選投票

    後半

    4/19(日) 市区長・市区議選告示
    4/21(火) 町村長・町村議選告示
    4/26(日) 市区長・市区議、町村長・町村議選投票
    区長・区議は東京都特別区。

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