損保ジャパンが掲げる「お客様視点」は「うわべだけ」…最終報告書、法令順守意識欠如を指摘

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 中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正請求問題を受けてSOMPOホールディングス(HD)が16日公表した最終報告書は、傘下の損害保険ジャパンの法令順守意識の欠如を厳しく指摘し、同社が掲げる「お客様視点」は「うわべだけにすぎなかったと言われても致し方ない」と非難した。両社は金融庁の行政処分を受ける見通しで、役員らの処分を検討する。

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 損保ジャパンは、ビッグモーターの不正の疑いを認識しながら、早期に取引を再開した点が問題視されている。報告書は「不正請求の兆候を指摘する声があったにもかかわらず、顧客本位の経営判断ができなかった」とした。

 なぜ関係を絶てなかったのか。ビッグモーターと損保ジャパンは、修理工場としてビッグモーターを保険契約者に紹介し、見返りに自動車損害賠償責任保険を割り当ててもらう相互依存関係にあった。このため、ビッグモーターの不正を認識しながら、売り上げなどを優先する営業部門に押し切られたと認定した。

 報告書は、コンプライアンス部門が「主導して対応すべき事案とは認識していなかった」と指摘。法令違反の疑いがある場合に「責任を持って対応する部署が判然としていない」点も問題視した。

損害保険ジャパン
損害保険ジャパン

 2022年8月に報道で問題が表面化するまでSOMPOHDに報告されなかった点については、損保ジャパンはグループの中核事業会社で、問題が発生した場合でも「自己完結的に解決を図ろうという志向が強かった」と分析した。

 SOMPOHDの責任についても言及している。表面化するまで問題は認識できなかったとしつつ、問題把握後に積極的に情報収集したり、対処方針を指揮したりするなどの対応を取らなかったとした。親会社としての「主体的・指導的姿勢が乏しく、リスク感度は低かった」と批判した。

 グループ内で報告を上げづらい風土があったとの見方もある。損保ジャパン社長就任以降、14年間にわたり経営の実権を握るSOMPOHDの桜田謙悟会長兼最高経営責任者(CEO)の存在を指摘する向きもある。ただ、報告書にそうした記述はなかった。

 一方、桜田氏は昨年9月の記者会見で、「責任なしだ、とはしない」と述べており、近く開く予定の記者会見での対応が注目される。信頼回復に向け、実効性ある再発防止策などを打ち出せるかも問われている。

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4938154 0 経済 2024/01/17 05:00:00 2024/01/17 09:49:12 2024/01/17 09:49:12 https://www.yomiuri.co.jp/media/2024/01/20240117-OYT1I50039-T.jpg?type=thumbnail

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