完了しました
【ニューヨーク=小林泰裕、ワシントン=田中宏幸】全米16位の資産規模を持つシリコンバレー銀行(SVB、カリフォルニア州)が10日、経営破綻した。米メディアによれば、2008年に発生したリーマン・ショック以降で最大の米銀破綻となる。米連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げが破綻の要因とみられ、他の中堅銀行への波及も懸念される。
SVBの総資産は22年末時点で2090億ドル(約28兆円)。08年に経営破綻したワシントン・ミューチュアル(総資産約3070億ドル)に次ぐ、史上2番目の規模の米銀破綻という。
SVBは1983年の創業で、IT企業が集積するシリコンバレーなどの新興企業を主な貸出先とする。FRBの利上げによって貸出先の経営が悪化し、預金が減少。金利上昇によって米国債など保有する有価証券にも含み損が発生した。
SVBの親会社は8日、財務改善のために有価証券の売却や増資計画を発表した。これが逆にSVBへの信用不安につながり、預金の流出が加速して一気に資金繰りに行き詰まった可能性がある。
米国のイエレン財務長官が10日、「銀行システムは依然として弾力的だ」と強調するなど、SVBの破綻がリーマン・ショックのような金融危機につながる可能性は現時点では低いとみられている。一方、市場関係者は警戒感を強め、10日のニューヨーク株式市場では、SVBと取引のある新興企業や金融機関の株が軒並み下落した。
在米の金融機関関係者は「今後もFRBが利上げを続ければ、他の中堅銀行でも資金繰りが悪化して経営破綻につながりかねない」と指摘する。利上げ幅の拡大が議論される今月21~22日の連邦公開市場委員会(FOMC)の判断に影響を与える可能性もある。