日経平均が一時3万円台回復、30年6か月ぶり…「接種開始見込み」投資家に安心感

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 週明け15日の東京株式市場は、取引開始直後から買い注文が膨らみ、日経平均株価(225種)は一時、3万円台をつけた。取引時間中としては1990年8月3日以来、約30年6か月ぶり。午前の終値は、前週末終値比347円11銭高の2万9867円18銭だった。

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一時3万円台の値が付いた日経平均株価を掲示するボード(15日午前、東京都中央区で)=稲垣政則撮影
一時3万円台の値が付いた日経平均株価を掲示するボード(15日午前、東京都中央区で)=稲垣政則撮影

 取引開始前に発表された2020年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値が前期比年率12・7%増と、市場予想を大きく上回ったことが好感された。開始直後から上昇し、午前9時20分過ぎ、3万円を突破した。値上がり幅は一時、480円を超えた。

 14日に米製薬大手ファイザー製の新型コロナウイルスのワクチンが承認され、近く接種が始まる見込みとなったことも投資家に安心感を与えた。ソフトバンクグループやトヨタ自動車など、主要企業の決算が好調だったことも相場を押し上げている。

 コロナの影響で、日経平均は昨年3月、1万6552円まで急落した。その後は各国の経済対策で景気が上向くとの見方から、上昇基調となった。昨秋以降はワクチン開発や米国の追加経済対策への期待が広がり、バブル崩壊後の最高値を更新していた。

 日経平均は、1989年12月29日につけた3万8915円(終値)が史上最高値。バブル崩壊で株安が続き、リーマン・ショック翌年の2009年3月には7054円まで落ち込んだ。12年の第2次安倍内閣発足に伴う経済政策「アベノミクス」で株価は上昇局面に入った。

「スピード違反気味だ」急騰ペースに警戒感

 日経平均株価が30年半ぶりに3万円を回復したのは、2020年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値が市場予想を大きく上回ったことなどに加え、各国中央銀行による大規模な金融緩和で、投資マネーがあふれていることが大きい。国債や社債の利回りが低下して運用面の魅力が薄れ、株式投資に向かっている。

 昨年3月にはコロナ禍で急落し、1万6000円台をつけたが、1年もたたないうちに3万円の大台を回復した。最近まで市場関係者の間では「21年後半にも2万8000~3万円」との見方が大勢だっただけに、予想を上回る急騰に「スピード違反気味だ」(関係者)と警戒の声も上がる。

 日本の実体経済を見ると、一段と厳しさを増している。いまだに人の移動は停滞しており、廃業に追い込まれた飲食店や観光施設もある。株高の恩恵を感じている人は少ない。実感を伴わない株価が、今後も上昇基調で推移するかは予断を許さない。(経済部 畑中俊)

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1842617 0 経済 2021/02/15 09:31:00 2021/02/15 14:33:01 2021/02/15 14:33:01 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210215-OYT1I50000-T.jpg?type=thumbnail

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