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声優デビューから30年あまり、「美少女戦士セーラームーン」の月野うさぎ役や「新世紀エヴァンゲリオン」の葛城ミサト役、海外ドラマの吹き替えなど第一線で活躍し、来年のNHK大河ドラマ「光る君へ」への出演も決まって、ますます活躍の幅を広げる三石琴乃が、著書「ことのは」(主婦の友社)を刊行した。幼少からの足跡や仕事への思い、新たな挑戦への心構えをつづっている。(文化部 道下航)
自分らしい何かを常に出していく
――幼少期からの歩みをつづっています。後輩へのエールも感じられました。
当時を思い出しながら、声優という仕事につながるルーツはどこだったんだろうって改めて考えて、思い出していくうちに、こういうこともあったなって昔の記憶をお日さまにさらして鮮明にしました。私が先輩から時々言われた言葉とか現場で見聞きしたことに助けられたり、励みになったりしたこともあるので、コロナ禍での収録で役者同士の交流がなかなかできない中、後輩たちに何か感じてもらえればいいな。
――ずっと一生懸命に努力をされてきたんだとわかる本でした。
若手の頃は何かしないと前に進めないという思いがありました。どうしたらいいかわからないけどヒントがあれば動くようにしていて、無駄になってもいいとも思っていました。「セーラームーン」で主役をいただけた当時は「うれしい! 仕事ができるしセリフをもらえてしゃべることができる」って大興奮していただけでした。声優として同じ作品に長く携われるのは運が良いことで、いい出会いがあったということ。狙ったってできることではありませんから。
――デビュー以来、大切にしていることは。
現場で一番上手な人や売れている人は何がすごいんだろうって考えた時、お芝居に対する情熱やこだわりが一番大事なのかもと気づいて、私もそこを大事にしないとと思いました。その“幹”の部分は譲らず、大事にするようカジをとってきました。昔も今も、生き残るのが厳しい世界ですから。
――仕事の失敗は仕事で取り返すという熱い言葉もありました。
失敗とかダメ出しされて落ち込んだり、「もー!」って自分にいらだったりしても、次に取り返すって切り替えられるようになりました。自分のことは自分が一番わかるので、下手なことや悔しいことはいっぱいある。及第点ではなく、何かを発していないと次につながらなくなってしまう恐ろしさがいつもあって、自分らしい何かを出していかないとって常に心がけています。
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