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大賞受賞者含む実力派…男優賞
段田安則、片岡仁左衛門という大賞受賞者2人を含む幅広い分野から実力派ばかりが選ばれた。
まず、4人が推薦し、3人が最高点をつけた段田が異論なく決まった。会社や家族から孤立し、混乱していく初老の男を演じた「セールスマンの死」で、「リアルな芝居に説得力があり、演出家の意図をくみ取った人物造形力にすごみを感じた」、自ら演出もした「女の一生」でも「家の重圧と時代の動きについていけない平凡な男を飾らずに演じた」と絶賛された。
次に5人から推された元V6の坂本昌行が選ばれた。実在した歌手役の「THE BOY FROM OZ」で「主人公の根底にある悲しみとコンプレックスの造形が巧み」、「凍える」では「連続児童殺人犯という難役を繊細かつ不気味に演じた」と推された。
さらに討議で、歌舞伎の名優・仁左衛門を選出。演じ納めと銘打った「渡海屋・大物浦」では平家の武将・知盛を演じ「爽やかで
残り2枠は7人の中から投票で決めた。シェークスピア劇で知られた田代隆秀は、「カタブイ、1972」で日本復帰を迎える沖縄を舞台に、サトウキビ農家の男を演じ、「沖縄の地に根を下ろし、
ミュージカル界で活躍する廣瀬友祐は、「モダン・ミリー」でヒロインが思いを寄せる社長を演じ、「バレエなどのダンス技術の高さと、抜群のコメディーセンスに驚かされた」と支持された。
上白石ら4人が初選出…女優賞
初ノミネートが4人と新鮮な顔ぶれが並んだ。
まず5人が推薦し、2人が最高点を付けた上白石萌音が決まった。話題作「千と千尋の神隠し」では、異世界に迷い込んだ少女・千尋を演じ「演技がうまい上に永遠の初々しさがある」とされ、「ダディ・ロング・レッグズ」では知的好奇心あふれる少女が成長していく姿を演じ「話すように歌い、歌うように話す。若い感性を生き生きと表現した」と絶賛された。
次に、唯一の優秀賞受賞者の森尾舞が決まった。3人から推され、1人が最高点を付けた。「ペーター・ストックマン」では、原作から性別を女性に変えた町長を演じ、「権力を持つ女性の孤独を上手に表現していた」と評価。韓国社会の貧困を描いた「そんなに驚くな」では、「生命力にあふれた女性をリアルに作り上げた」とたたえられた。
残り3枠は9人の中から投票で選ばれた。ミュージカル2作で選出の望海風斗は、「ネクスト・トゥ・ノーマル」で双極性障害の主婦を演じ「演技の延長として難曲を見事に歌った」、「ガイズ&ドールズ」では踊り子のアデレイド役を演じ「こびないキャラクターが作品に現代性をもたらした。コメディエンヌぶりも素晴らしい」と評価された。
音無美紀子は、「夏至の侍」の老舗の金魚問屋を守る女主人役で「気丈なようではかなげなたたずまいに、人間の強さと弱さがにじんでいた」、「風を打つ」では、水俣病に苦しむ母親を演じ「愛らしく存在感豊か」と称賛された。
長野里美は「凍える」で娘を理不尽に殺された母親を演じ「苦悩、葛藤、再生を演じきり、心が凍った女性の葛藤や、ひえびえとした精神的な風景を見せてくれた」と支持された。
吉田羊、清水直子、高岡早紀、天海祐希、安藤玉恵、高畑淳子の名も挙がった。