ピアニスト安川加壽子生誕100年…音色や色彩感を重視「時代がようやく追いついた」

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青柳いづみこ、先見性を次代へ

 ピアニスト・文筆家として多彩に活躍する青柳いづみこ。今年は、師の安川 加壽子かずこ が生誕100年を迎え、その先見性を回顧する活動に精力的に取り組む。一方で新鮮な出会いを求め、作曲家・高橋悠治との連弾も意欲的に続けている。(松本良一)

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 安川は戦前、フランスに留学し、美しいピアニッシモや軽やかなタッチを身につけた。その真価は、質実剛健なドイツ流の指導法が主流の日本では、長年理解されなかった。

「音の色彩感を大切にする若いピアニストが増えた。安川加壽子先生は喜ぶでしょうね」(都内の自宅で)
「音の色彩感を大切にする若いピアニストが増えた。安川加壽子先生は喜ぶでしょうね」(都内の自宅で)

 だが、青柳は最近、若手の演奏に時代の変化を感じ取る。「技術レベルが均一になり、より強い個性が求められるようになっている。バロックから近代まで幅広いレパートリーを教え、音色や色彩感、自在に変化するリズムやテンポを重視した安川先生に時代がようやく追いついた」

 安川は、戦後間もない頃の幼い教え子たちの発表会では、クープラン、シューベルト、ドビュッシーなどの小品を披露させた。「その先見性を次代に伝えなければ」と語る青柳は、「昔の歌 安川加壽子門下生発表会より」(ALM)とのタイトルで、それらの一部を演奏したCDを発売予定。東京・代々木公園のハクジュホールで、24日午後2時から開くコンサートでも弾く。

 「今はインターネットに情報があふれ、一昔前のような教条的な指導は成り立たない。コンクールの審査基準も変化する中で、若手には視野の広さや柔軟な考えを持ってほしい」

 24日のコンサートは2部構成。午後6時からは、6年前から共演を続ける高橋悠治との連弾を聴かせる。自身は今年72歳を迎えたが、83歳の今なお、みずみずしいピアノを聴かせる高橋との共演は大きな刺激になっている。「普段着でピアノと戯れるような悠治さんのピアノは、響きもニュアンスも独特。合わせるのは難しいけれど驚くほど新鮮な体験ができる」と話す。

 曲はドビュッシーの「遊戯」(4手連弾版)ほか。「『遊戯』は新奇な音にあふれた異色の作品。2人とも初めて弾くのでスリリングな演奏になりそう」。ドビュッシー研究者でもある青柳が、高橋のちょっとごつごつした感触のピアノにどのように寄り添うのか。この曲の新しい側面が聴けるかもしれない。

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3344070 0 音楽 2022/09/18 11:00:00 2022/09/18 17:30:52 2022/09/18 17:30:52 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/09/20220909-OYT1I50146-T.jpg?type=thumbnail

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