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歌謡界を代表する歌手、野口五郎と岩崎宏美。ともに、昨年亡くなった作曲家、筒美京平の作品を数多く歌い、名作ミュージカル「レ・ミゼラブル」の日本初演(1987年)も経験した。そんな2人が初めて出したデュエット曲が「好きだなんて言えなかった」。現実の関係は? 好きだった? それとも嫌いだった? 対談で、互いにはき出した2人の本音とは――。(文化部 清川仁)
最悪の出会い「女の子が足を組むもんじゃない」
岩崎 五郎さんに初めて声をかけられたのが、新人の年、歌番組の音合わせで座っていた時。「女の子が足なんて組むもんじゃないよ」って。4年後輩の私がデビューした時、五郎さんは大スター。気難しい人だな、とずっと思ってきた。
野口 先輩として偉そうに言ったわけじゃなかったんだよ。歌がうまくて、京平先生の強い思い入れが分かる曲を歌っていたから、「ああ、この子なんだなあ」と思って、何となく声かけたつもりが……。そういう言葉になっちゃった。
岩崎 後に、「他の新人の子にも、そういうこと言ったんですか」と聞いたら、「言ったことない」って。
野口 だって、足を組んでいる人は君しかいなかったから!
岩崎 あははは! その後は「レ・ミゼラブル」。出演者は小さい頃からミュージカルを目指してきた人が多いから、私は後ろめたい気持ちがあったし、不安だった。マネジャーも、お稽古場には入れないしね。五郎さんも1人で頑張っているんだな、と思えることが支えだった。
買ったばかりのベンツに「ゴロリンの車、私と同じ色!」
野口 それは僕も同じ。でも、それぞれ1人で車で通っていて、駐車場で会った時は失礼だったよね。「あ、ゴロリンの車、私と同じ色!」って。買ったばかりのベンツにだよ。「オレの車はシルバーっていうんだよ。お前のはねずみ色だよ」って言ってやった。
岩崎 あはははは。でも、「レ・ミゼラブル」は素晴らしい作品だよね。
野口 しかも、初演。原作の時代状況に合わせて、お風呂に入るなって言われていた。
岩崎 私が演じたファンテーヌは、髪がちょっとしか見えないようなカツラをかぶっていた。
野口 洋服もツギハギだらけのボロボロだった。
岩崎 去年、BSの番組で共演。共演したのは、すごい久しぶりじゃない?
野口 京平先生の知らせ(訃報)が入ったころだったもんね。このご縁も、京平先生かなって思っちゃう。それまで会うことが本当になかったから。
岩崎 私が五郎さんと歌うことをNGにしていると思ってたんでしょ。
野口 あまりにも一緒にならないから。
岩崎 共演したいと思ったこと、なかったんじゃない?
野口 ありましたよ。宏美ちゃんは団塊の世代の歌手にかわいがられていたから、力不足だと思ったんですよ! こんな若造じゃ。
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