笑福亭鶴瓶の情熱「『江戸』だけじゃなく『上方落語』もおもろい」…古典「芝浜」をアレンジ

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 古希を過ぎてなお、バラエティー番組、ドラマ、映画にと引っ張りだこの落語家・笑福亭鶴瓶。本格的に落語と向き合って20年を超え、年々、「上方落語をもっと発展させたい」との思いが募るという。10月から、鶴瓶流にアレンジした江戸の古典落語「芝浜」を引っ提げ、落語会で全国を回る。(布施勇如)

結婚50年、重なる「嫁はん」への気持ち

中原正純撮影
中原正純撮影

 来年で結婚50年。一度も夫婦げんかをしたことがない。「嫁はんにコントロールされるのがうまくいく 秘訣ひけつ 。『芝浜』の夫婦もそうかも」。優しい目を細めた。

 芝浜は人情 ばなし の名作。酒に溺れてうだつが上がらない鮮魚の行商人「勝三」は、江戸・芝の浜で大金の入った財布を拾う。仲間と酒宴で散財した翌朝、財布を拾ったことなど夢だと妻に言われ、気持ちを入れ替えて断酒。仕事に打ち込み、表通りに店を構えるまでになる。「夢」から3年後の大みそか。妻が真実を告白し、久方ぶりの酒を出すと……。

 上方では、舞台を大阪に換えた「夢の革財布」が演じられる。だが、鶴瓶は敬愛する桂南光の勧めもあり、「自分流の芝浜」にこだわった。勝三は大阪の鮮魚商の息子で、江戸・吉原の遊女と親密になり、親に義絶されて江戸に住むという設定にした。

「何でこんな噺」と後悔、最後は客と作る

 「しっかりもんの女は、江戸弁の方がピリッとくるんで。でも、たんかを切る場面が難しくて。何でこんな噺、選んだんやろと思った」。最初は後悔したという。

(C)大西二士男
(C)大西二士男

  やちょっとした言い回しを練っていくうち、「夫婦の機微とか、昔の大みそかの雰囲気を出すのは、だいぶものになってきたかな」。やり始めた頃はオチまで45分程度だったが、今は約30分になった。「初めて落語を聞く人でも集中力が続くように短く、なるべく分かりやすくした」と語る。

 ただ、最後の最後をどう落とすかはまだ決めていない。「お客さんの反応を見て、お客さんと作っていく」。それが落語という芸の神髄だと思うからだ。

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4548439 0 伝統文化 2023/09/17 15:40:00 2023/09/17 15:40:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/09/20230915-OYT1I50136-T.jpg?type=thumbnail

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