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内田裕也、スクリーン上のロックンロール 内田裕也著

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評・戌井昭人(作家)

 ロックンロール、この言葉を日本で聞いて誰もが思い浮かべる人は、今年の3月に亡くなった内田裕也であろう。享年七十九、はたから見てもその人生は疾風のごとくであり、彼にとってのロックンロールは生き方でもあった。

 そのロックンロール魂は音楽だけにはとどまらず、とてつもなく個性的な役者、映画人を生み出してもいる。

 本書は内田裕也にインタビューをしつつ、彼が関係してきた映画を辿たどっていくもので、煮えたぎってギラギラしていた頃の映画界の雰囲気を感じることができ、日本映画の重要なアーカイブにもなっていて大変読み応えがある。

 個人的には、子供の頃に「十階のモスキート」を恐る恐るたことや、「クレージーだよ 奇想天外」の内田裕也に大笑いしたことを思い出した。役者としての存在は、異様でもあったが、チャーミングでもあり、常に得体の知れない説得力を持っていた。

 インタビューは内田裕也の映画愛があふれ出ていて、ある種の感動を覚える。作品には大も小もない。そこには創造することに全身全霊こめて転がり続けた男の姿があった。 (キネマ旬報社、2200円)

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795941 0 書評・レビュー 2019/09/15 05:00:00 2023/09/28 05:26:58 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190924-OYT8I50011-T.jpg?type=thumbnail

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