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山形大の研究グループは8日、世界遺産「ナスカの地上絵」で知られる南米ペルーのナスカ台地とその周辺で、新たに168点の地上絵を発見したと発表した。研究グループが発見した地上絵は、今回の発表分を含め、計358点に上る。
同大ナスカ研究所副所長の坂井正人教授らの研究グループが2019~20年にドローンを活用して現地調査を行い、168点の地上絵を確認した。16~18年の調査でも142点の地上絵を発見しており、分布の傾向がある程度明らかになっていたことから、ドローンを用いて計画的に調査した。
今回見つかった地上絵は、人間や鳥、ヘビなどの動物が描かれており、絵柄の特徴から紀元前100年~紀元300年頃に作られたと考えられる。最も大きいもので全長50メートル以上あったが、ほとんどが10メートル以下の小型のものだという。
研究グループは米IBMと人工知能(AI)を活用した地上絵の共同研究を進めており、今回発見した地上絵もAIに学習させ、さらに詳細な分布を明らかにしていく。
ナスカでは市街地や鉱山関連施設が拡大し、既に壊された地上絵もあるといい、研究グループは、分布を正確に把握することで地上絵の保護にも役立てたい考えだ。坂井教授は「地上絵を『見える形』『共有できる形』にすれば、地元で守っていこうという機運ができる。分布のパターンが見えれば、地上絵の制作目的の解明にもつながる」と述べた。