新宿の奥深さを実感した岡田将生、映画館と風俗店求める人が共存「何かが起こりそう」

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 気鋭の劇作家、三浦大輔作・演出の新作「物語なき、この世界。」が8月3日まで、東京・渋谷のシアターコクーンで上演されている。主人公の売れない役者を演じる岡田 将生まさき に話を聞いた。(文化部 小間井藍子)

 舞台はシネマ・コンプレックスを中心に居酒屋や風俗店などがひしめく新宿・歌舞伎町。売れない俳優の菅原(岡田)がこれまた売れないミュージシャンの今井(峯田和伸)と偶然、出会う。高校では同級生だったが特に仲がいいわけでもなかった2人の会話は盛り上がらない。そこへ通りかかった中年男橋本(星田英利)が菅原に絡んでくる。

実生活で新宿へ行くことは--「映画館とデパートに行くくらいでしょうか」
実生活で新宿へ行くことは--「映画館とデパートに行くくらいでしょうか」

 「私と峯田さんというより、周囲の人たちによって話が展開していく。『ちゃんと自分の人生歩んでるのか』と突きつけられる物語」と戯曲の印象を語る。

 岡田は、三浦監督・脚本の映画「何者」(2016年)に出演。撮影では、三浦がディスカッションを通して俳優の理解を深めていく姿が印象的だったという。「一瞬の緩みを見逃さない鋭い監督だなと。三浦さん演出の舞台にいつか出たいと思っていた」と語る。

 が、今回の芝居の作り方には戸惑いもあったようだ。三浦からは、「台本にあるせりふを(頭に)入れきらないで」と言われた。「大体の流れだけ押さえて後はその場で出てきた思いを口にしてほしいと。これまで経験したことがないやり方で鍛えられている」

 稽古が進むにつれ、物語を求めて映画館に向かう人と風俗店に行く人が当たり前のように共存する街の奥深さを実感するようになった。「要するに主役は(歌舞伎町がある)新宿なんじゃないかなと思った。何かが起こりそうと想像させる街というか。そういう感覚を生かして演じられたら」

 端正な容姿と確かな演技力で主に映像作品で活躍するが、舞台への思いは人一倍深い。初舞台は14年。蜷川幸雄演出の「皆既食」で天才詩人ランボーを演じた。「蜷川さんにドラマや映画とは違う表現の仕方を教えてもらった。うまく言えないけど何だか舞台に救われた」と振り返る。

 当時、蜷川から「シェークスピアをやった方がいい」と助言されたことが、19年の「ハムレット」主演につながった。初日には劇場入りする前に蜷川の墓前に「やらせていただきます」と決意報告したという。

 「ハムレットはものすごく大変でたくさん失敗もしたが、それでも舞台に立ち続けたことで、やりたいことに挑戦する大切さを知った」と静かに語る。「30代はジャンルにとらわれず求められる役者でありつつ、舞台にもコンスタントに出演していきたい」。まだまだ色んな可能性を秘めた31歳だ。(電)03・3477・3244。

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2201752 0 エンタメ・文化 2021/07/13 11:10:00 2021/07/13 11:10:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210708-OYT1I50077-T.jpg?type=thumbnail

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