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稲垣吾郎が発案し、主演する舞台「サンソン―ルイ16世の首を
主人公は18世紀、フランス革命の時代に生きた死刑執行人シャルルアンリ・サンソン。過酷な仕事を世襲する家に生まれ、熱心なカトリック教徒で慈悲の心を持ち、死刑の是非について自問し続けた。
稲垣は、彼を描いた漫画「イノサン」の作者・坂本眞一とテレビ番組で語り合い、フランス文学者の安達正勝が書いた「死刑執行人サンソン」も読んで「より気になった」という。「世間の偏見と闘いながら、執行人は社会にとって必要だとプライドを持ち続けた。強いですよね。その力の源を分かりたいと思った」
稲垣の気持ちを受けて脚本・中島かずき、演出・白井晃、音楽・三宅純と「No.9」を手掛けた男たちが結集した。「憧れのかっこいい先輩たちです。好きなことをこだわりとプライドを持ってやっています」
中島が書いたのは、革命と同時進行した知られざるドラマだ。サンソンがルイ16世、マリー・アントワネット、ロベスピエールらといかに関わり、首をはねることになったか。思い悩み、宿命と闘うさまを時代の激動と絡めてダイナミックに描く。「サンソンは常に受け身で、熱いものを持っていても表に出さない。ベートーベンと真逆なんです」
中島はサンソンを「万華鏡のような男」と形容したという。「ちょっと角度を変えるとまったく違って見える。面白いです。つかみどころのなさ、ミステリアスさも出したい」。海外でも評価の高い三宅が書き下ろした音楽は、「宮殿ではチェンバロ、町中ではジャズ。どの時代の曲か分からないけど、作品世界に見事にはまっています」
1973年生まれ。SMAPの一員として人気者となり、2016年の解散後は表現者として力を付けている。舞台の代表作「No.9」は15年初演。エネルギッシュなベートーベンが現代によみがえったと錯覚するほどリアルな熱演が評判を呼び、今年1月には3度目の上演を終えた。「舞台って何回やってもいい。めくるめくスピードの芸能界の中でグループとして活動してきたので、鮮度の大事さは分かっています。でも、何度も何度もしつこくやって磨き上げる作業は大切だし、僕に合っています」
コロナ下での上演が続く。「僕も演劇や映画を見てパワーをもらえたり、生きがいを感じたりしますから、エンタメって今こそ必要だと思う。今回はみんなエネルギーがすごい。それをダイナミックに伝えれば、お客さんも元気になる。舞台ってすごいですから」
中村橋之助、榎木孝明、田山涼成らも出演。
公演日程(予定)=21~24日、大阪・オリックス劇場、6月11~13日、福岡・久留米シティプラザ、6月25~27日、KAAT神奈川芸術劇場。
詳細は公式サイトで。