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「保護者が濃厚接触者になるなど、身近に感染が迫っているのを感じます。クラスターの危険は常にあると思っています」
東京都府中市のめぐみ第二保育園園長、内藤孝子さんは危機感を強めている。新型コロナウイルスは、変異型・デルタ株の拡大で、従来少ないとされていた子どもへの感染が懸念されるようになった。園児89人を保育士20人で見る。
検温・消毒・換気・ワクチン接種…子どもたちを守るため
保護者は毎朝、子どもの検温や体調の確認をする。発熱した園児は登園をやめてもらう。午前7時、保育開始。保護者は園内には立ち入らず、保育士は玄関先で子どもたちを預かる。午前と午後にも全園児の検温をする。
階段の手すり、おもちゃなどの消毒も頻繁に行う。子どもたちが密になって遊ぶのを避けるために、廊下やホールにもソファやテーブルを設置した。昼寝は間隔を空けて。換気などのため、網戸や空気清浄機も購入。職員の検温や消毒も徹底しており、9割以上がワクチンを接種した。「子どもたちを守るため、必死の対策を続けています」と内藤さん。
厚生労働省のまとめでは、8月26日現在、新型コロナにより全面休園している保育施設は179か所にのぼる。7月以降急増している。これまでに感染者が発生した保育施設は約4600か所、感染者は職員約4700人、子ども約5000人。東京都の新型コロナウイルス感染症モニタリング会議などでも、10歳未満の感染拡大が指摘されている。
医療・保育・福祉・物流を下支えする保育現場…もっと理解を
ただ、内藤さんが強調するのは、「コロナだからできないではなく、やり方を工夫すること」だ。
毎日、連絡帳に保育の様子の写真を貼り、保護者に伝えている。玄関先にも、保育の様子や給食のメニューの写真を掲示。運動会は、各クラス入れ替え制にして、観覧は保護者家庭から2名に制限して行った。公共交通機関を使わずに、近くの美術館で絵画を鑑賞したり模写したりする試みも好評だった。
「園を利用している保護者には、自衛官、看護師、保健師らもいる。私たちは、エッセンシャル・ワーカーを守っているエッセンシャル・ワーカー。誇りに思うよね、と園では話をしています。社会的にもっと注目されるとうれしいのですが……」
「エッセンシャル・ワーカー」は、社会基盤を維持するために不可欠な仕事をしている人を指す。コロナ禍で広がった言葉のひとつだ。医療従事者のほかにも、保育、福祉、交通、物流の関係者など多岐にわたる。
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